流れ星を一つ

ホグワーツに帰ってきた次の日
皆が私の無事を祝ったパーティーを開いてくれた

皆気を遣って何があったかは聞いてはこなかった
ただ、また私と会えて嬉しいと言ってくれた


「優季大変だったね」

『ハリー!』

「これで僕と一緒だ」

額の傷を見せ笑ってみせた
その傷をみればヴォルさんのことが懐かしくなった

ヴォルさん、元気かなぁ?
ちゃんと寝ているんだろうか?
ヴォルさんは自分の世界に入ると
ご飯も食べないし睡眠もとらなくなってしまうからなぁ
あ、ナギニちゃんはどうしてるかな?

考えがぐるぐると回っていれば窓をコツコツとつつく音

「おーい優季、君の梟が手紙持ってきたよー」

『えっこんな時間に?』

アールおいで、と呼べば腕に乗るアール

“優季ー!”

『アールありがとう』

“いいのさ!”

ふふんと得意げな顔をして手紙を取れば
アールは飛び立ってしまった

手紙を見ればセドリックからだった
手紙には天文台で待ってるとのこと

まだ就寝時間まで時間もあるし私は行くことにした
ローブを羽織っても外は少し肌寒くなってきていた

天文台へ続く階段へと向かう

「Ms桜葉、こんな夜更けに何処へお出かけですかな?」

『こんばんは、スネイプ教授
ちょっと人に会う約束をしているんです』

廊下だからかセブルスは教師として接する
そんな普通のことがどこか懐かしく感じた

「それはそれは。夜に女子生徒を呼び出すなど
そやつは礼儀がになっていないですな。
そんな失礼な輩は一体誰ですかな?」

教えろと言わんばかりに近づいてくる彼に
壁に追いやられてしまう

『ち、近いです…教授っ』

「そうですかな?優季が早く言えば済むのだぞ」

小さめに私の名前を呼んだ

『その…セドリックが手紙で天文台で会いたい、と』

「それに貴様はやすやすと向かうと?」

セブルスの眉間の皺が深くなった気がした

『彼は友達よ?それ以上でもそれ以下でもないの』

「だがだめだ。何があるかわからん」

『セドリックは、』

「だめだ。送っていくから帰りなさい」

話を聞いてくれないセブルスに腹が立ってきた
捕まれた腕を振り解いて私は天文台へと向う

「優季!」

途中で彼が止める声がしたけれど
聞こえないふりをしてセドリックのところへ向かった

『セドリック』

「優季!!」

そこには望遠鏡を覗くセドリックがいた
横顔がどこかいつもとは違うようで
少し堅いような、そんな気がした

「優季無事だったんだね!よかった…」

『うん、大丈夫!
セドリックもあの人に何かされたみたいだけど大丈夫?』

「僕は全然。」

『そう、よかったぁ』

彼との間に会話が無くなると
お互い自然と上を向いて星を眺めた

そんななか私のくしゃみは
空気を読めないようでセドリックは
私をちらりとみれば
肩に自分の着ていたローブをかけてくれた

「寒いよね、ごめんね。これ着てて」

『それじゃあセドリックが寒いよ!』

「僕は平気さ」

『でも……』

「大丈夫だから」

そう言って彼はまた星を眺めていた
その日は珍しく流れ星がたくさん流れていて
一つくらい手に落ちてきそうなそんな日だった





















(再び君と会えたことがこんなにも嬉しい)


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