しょっぱいキス


「あぁ優季っ!優季!」
私は大切な友達を泣かせてしまった

ぽろぽろと大粒の涙を流しながら
私をきつく抱きしめるのはハーマイオニー
おじいちゃんの所へ向かう時に
ばったり出くわして今に至る

『ハーマイオニー、』

「心配っ…したのよっ!?」

『ごめん…本当にごめんね。』

「無事でよかった…っ!!」

そう言って彼女はまた涙を流した
心に染みるものがあった
心配させてしまったという後悔と
どこからかこんなに心配してくれるなんて
嬉しいと
この場には似合わない気持ちが私を取り巻いていた


ハーマイオニーを宥めおじいちゃんの所へ向かう
階段がいつもより長く感じる
扉を叩く前に扉が開く

「…優季」

おじいちゃんがこちらを
なんとも複雑な表情で見ていた

『おじいちゃん…ただいま。』

「あぁ、お帰り。」

よかったと優しく頭を撫でられる
たくさんの人に迷惑をかけてしまったんだなぁ
そんなことを考えていた

階段を駆け登る足音が聞こえた
すると勢いよく扉が再び開く
そこにいたのは大好きな薬学教授
息を乱して私を見るなり目を見開いた

セブルス、と彼の名前を呼ぶより先に
きつく抱きしめられた

「…っ!!」

『セブ、…苦しい、よ』

私の言葉が聞こえていないように
また抱きしめる力が強くなる

「セブルス、優季が苦しがっておる」

離しておやりと言われて
彼が名残惜しそうに体を離した

『たくさんのご心配をおかけしました
ただいま帰りました。』

彼の目を見てそういえば
彼の目から一筋の涙が零れた
本当に心配してずっとずっと
私を思ってくれていたんだなってそう思った

だから今度は私が彼を抱きしめるの
ごめんねと愛してるを込めて

『もうどこにも行きませんから』

「…あぁ、我輩が離さん。」

『今度はちゃんと守ってくださいね?』

「あぁ、必ずだ。」

こんな思いは二度と御免だからなと彼は小さく笑った
笑った瞬間にまた流れ落ちた雫を私は唇で拭った






おじいちゃんが気をきかせて
今日は気持ちがまだ安定しないだろうから
セブルスの部屋で過ごしなさいと言ってくれた

嬉しいのとほっとしたのはセブルスも一緒なのか
さっきから繋いだ手を離してはくれない

彼の私室に入ればすぐさまキスを落とされ
ソファに押し倒される

『セブルス…?』

「ずっと、悔やんでいた」

「なぜあの時助けられなかったのだろうと」

『それは…』

「あれは私が悪い。そう言わせてくれ。
しかも、君から距離を取りたいと言われた直後だったからな
君が戻ってこないような気がしていた」

『そんなことあるわけな、』

「だが今君が此処に、私と共にいるのが
夢ではないかと思うのもまた事実だ」

『夢じゃないです。
セブルスが離さないって言ってくれている限り
私は何処にも行かないし行きたくもない』

「…っ優季」

噛み付くようなキスをされ彼に身を委ねた
やっぱり彼のキスは蕩けそうになって
もっと欲しいと思ってしまう

『セブ、ルス』

「……愛してる、」

小さく呟くように貴方は言った
それは間違いなく私に向けたもので
どきんと心が跳ねた

『私も…愛してる』

















(優しく愛で縛り付けて。もう何処へも行けないように)


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