非日常オンパレード


なんだろうこの虚無感
自分から言ったことなのに

自分から距離をおきたいと言ってから
早くも一週間が過ぎた
その間ルーピン先生はいつも私のそばにいてくれた
もちろんハーマイオニー達にも話をして
彼女達もそれを受け入れてくれたが
どうにも腑に落ちないようだった

淡々とした日々に非日常的な事を言われた

『………えっ?』

「…うん。困惑するよね、ごめん」

前々からよく一緒に勉強をしていた
セドリックに次のトーナメントでパートナーとして
出場してくれないかと言う申し出だった
それは危険が付き纏うもののよう

『湖の中に1時間、でしょ?』

正直怖いし死んでしまうだろうと思った

「君は僕が必ず助ける。
だから僕を信じて一緒に出てはくれないかな?頼む優季!」
頼むと頭を下げるセドリック

『……わかった。そのかわり私を生きて皆に合わせてね?』

「優季……ありがとう、もちろんさ!」

ぎゅっとセドリックに抱きしめられれば
周りから冷やかしの野次が飛ぶ

『セドッ、恥ずかしいから!』

「あぁ、ごめんごめん!つい嬉しくって」

『もう、大袈裟だよ』

「僕にとっては重要なことなの!」

『はいはい。』






そうして約束した日はやってきた

「優季……」
心配する三人を見る

『もー皆。私死ぬわけじゃないよ?
そんな顔しないで!』

「だって優季ー、」

『私はセドリックを信じてるわ。
だから皆も私を信じて!…ね?』

三人と、ロンやフレッドとジョージ、ドラコ君にも
きつくハグされて私はセドリックの元へ向かった

そこには出場者とパートナーと
三校の校長と数名の教員がいた
その中にはセブルスもいたが目が合った瞬間に逸らされた

「優季、…震えているね」

自分が震えていることすらわからない程に
緊張していたらしい

「優季、僕を信じて。…あと君が
戻って来た時に話したいことがあるんだ。」

『うん。わかった。なるべく早く助けてね?』

「あぁ、もちろん」

じゃあまたと頬にキスをされた後
ダンブルドアのところへ向かった

「この競技に手を貸そうとは君達はとても勇気がある。
皆で、武運を祈っておるぞ。」

ダンブルドアから魔法をかけられると意識を失った







目を覚ませばそこは湖の中だった
一応呼吸は出来るようだ
本来4人いたはずのパートナーは三人になっていた

向こうから誰かがやってくる
少しだけ霞む視界から見えたのは



セドリックだった

来てくれた!と思えばいきなり黒い影が
セドリックを包んだ

彼の名前を叫ぶがそれは泡となって消えた
セドリックは力を無くしたように地上に向かって浮かんでいく
彼が危ないと足に縄がかけられているため行けない

彼を包んだ黒い影が私の前までくると
私の足の縄を切り地上へと引っ張っていく

この人は誰?セドリックの協力者?

そう思いながらもその黒い影に担がれるように浮いていった

地上に顔を出せば空気を欲して肺が思いきり収縮を繰り返した
しかし地上を見れば逃げ惑う人たち
杖をこちらにむける先生や生徒

気がつけば湖から出て私は宙に浮いていた

「ヴォルデモート!」

「例のあの人は本当に…っ」

「いやぁっ!殺される!」

悲鳴や混乱の声が響いた
皆の様子から私は今
とんでもない人の腕の中にいることを悟った
混乱の中で私のすぐ横で地を這うような声がした

「こいつは俺様が頂いていく」

「トム、それはさせん!」

校長とヴォルデモート
と呼ばれた人の杖から出る光線が激しくぶつかり合う

「優季!逃げろ!」
と愛しい人の声

『教授っ…!』

私はその人の元へ行こうと腕の中で暴れる

「…暴れるな。私の目を見ろ優季」

ふとその人の目を見ると
すっ、と抵抗する力が無くなっていった
くたりとその人に抱えられるような形になる
意識はあるのに身体が動かせないもどかしさ

「っ貴様、優季に何を!!!」

「これ以上ここにいても無意味だ。
優季は頂いていく」

その人と共に姿現しをする寸前に見たのは
貴方の苦しそうな辛いような顔でした


















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不器用アイリスは思っていた物より
長くなりそうなのでここで第一部[完]と
させていただきます。


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