狂い始める


目を開ければ腕の中には優季がいた
……何故
頭の中にはその言葉しかなかった

「優季、」

名前を呼べばびくっと肩を震わせてこちらを見る優季
一瞬だけ彼女の顔が曇った気がした

『起きたんですね。ソファで寝ちゃだめですよ』

彼女は起き上がりローブを取りに行く
…おかしい、足らないのだ
腕の拘束をなくせばいつもなら
頬を擦り寄せてくる仕種がない

「おい、」

『はい?』

「どうした?何か様子がおかしいが」

『っ、何もないですよ。気にしすぎです』

「いやしかし」

『私まだレポートが残っているので失礼します』

扉が閉められる
やはり何かがおかしいと思った

あとで呼び出すかと考えながら
次の授業の準備を進めた





レポートを提出をさせれば散々な内容
調合をさせれば失敗をして鍋まで焦がす始末
黒板の内容を書くだけの作業なのに居眠りをする

全く今日も授業をしっかりと聞いて
こなせている奴は数える程度だ

廊下でマクゴナガル教授に出くわす

「まぁ、セブルス。お久しぶりですね」

「いかにもミセス、一週間ほど休日を頂きましてな」

「優季も一緒だったとか」

何故知っている…
大方あの狸が教えたのだろうが

「それが何か問題でも?」

「いえ、優季が珍しく私の授業を失敗をしたのです。
何かあったのかと」

マクゴナガル教授は我輩があいつに何かしたのかと思っているのか
馬鹿馬鹿しいな

「我輩は何もしておりませんぞ
あやつから相談も何もありませんしな」

「そうですか…それは失礼。
あぁ、忘れるところでした。
アルバスが授業が終了後来てほしいそうです」

ではとマクゴナガル教授は足早に授業に向かった
















授業が終わり校長の元へ向かう
その途中に優季を見つけた
心なしか疲れているような気がした


「校長、お呼びですか」

扉を開ければ不死鳥を眺めるダンブルドアの姿

「おぉセブルス、そこにおかけ」

ソファに腰掛ければ向かいに校長が座った
それと同時にコーヒーが現れた

「セブルスは紅茶派だったかのう
今ちとコーヒーにはまっておってな」

「そうですがコーヒーもブラックなら、」

目の前で大量のミルクと砂糖をいれる校長に胸やけがした
それを堪えてカップに口づける

「で、用件とは」

「そう急ぐでない。ゆっくりお茶をしてから話そうかの」

そう言って二人でコーヒーを飲んだ
早く帰って休日に終わらなかった論文を仕上げたいのに

まだコーヒーが半分減るか減らないかのところで校長が話しはじめた

「優季との一週間は楽しかったかのう?」

「…まぁ、それなりでしたな」

「優季は料理上手じゃろう、
この間も手作りクッキーを持ってきてくれてな
それがまた上手いんじゃ!」

思い出すように語っている
自分ももらったと言ってやろうかと思ったが
機嫌を損ねていじけられても困るのでやめた

「校長、本題に」

「…わかった、話そう。
最近ヴォルデモートが優季を狙っているらしいんじゃ
あの子自身は気づいていないが魔力が強い。
その上不思議な能力もある。
この前の優季を襲った男子生徒も
記憶がなくなる前に何者かに眠らされたようじゃった」

「…奴はもうそんなに力をつけてきているのですか」

「まだ準備段階じゃろうが完全な復活まで日は近い
じゃからこれから優季がどんな形で狙われるかわからん。
引き続き優季から目を離さんでやってくれ。」

「わかりました。
お話はこれだけで?」

「そうじゃ、わざわざすまなかったの」

「いえ、では失礼します」

「そうじゃそうじゃ、セブルス!」
まだ何かあるのか早くしてくれ

「心が弱くなると闇に立ち向かう力も弱くなる。
優季を支えてやって欲しい
ミネルバも心配しておった」

「…わかりました、本人にこの話をしても?」

「いや、今は心が弱い。まだ話さんでいいじゃろう」

「では失礼」


扉を閉め私室へ向かう
早めにあいつに何かの手だてをしなくては、
とりあえず非常に不満だがあいつに言っておくか

部屋につくとグレイに手紙を二通括り外へ離す
久々の自由に帰ってくるのは遅いだろう
論文を進めなくてはと椅子に座り羽根ペンを踊らせた






















(おや珍しいこともあるもんだ)
(セブルスからだ…)


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bkm
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