唇泥棒の訪問


過去を思い出してから数日
私はセブルスと一緒に寝ている
最初は渋々了承してくれたようなものだったけれど
寝る時には必ず腕の中に私を入れてくれる
なんでも悪夢避けも兼ねているそう


目の前の端正に整った寝顔を見れば
やっぱり素敵だなんて思う

彼の抱擁からようやく腕を出してさらさらの髪を触る

『本当はさらさらなのにもったいないなぁ、』

しばらく髪の毛の感触を楽しんでいると
いきなりぱちっと目が開いた

『わっ!』

「触りすぎだ。」

『…もうびっくりした。おはようございます、教授』

ちょっと意地悪して教授と呼んでみる
あ、眉間に皺

『ふふっ、ごめんなさい。セブルス』

「…わかればいい」

二人でベッドで寝起きの気だるさを楽しみながらいると
家のチャイムが鳴った

『誰でしょうね?』

「放っておけ、すぐ帰るだろう」

またチャイムが二度鳴る

『私見てきます!』

「あ、おい!」

セブルスの腕からするりと抜け
カーディガンを羽織ってドアを開く

『どちらさ、ま』

「やぁ優季!おはよう、いやこんにちは。かな?」

『ルーピン先生!』

「これケーキね。食べてみて、美味しいって評判なんだー」

『わぁ!ありがとうございます』


階段から降りてきたのはきちんと着替えたセブルスだった

「ルーピン、貴様」

「おはようセブルス」

『教授!先生からケーキを』

「優季、お前は着替えてこい」

『…はーい』

私が部屋に行き服を着替えて戻ると
なんとも嫌そうなセブルスとそれは美味しそうに
笑顔でケーキを頬張るルーピン先生がいた

「優季、君も座って食べなよー」

『あっはい。』

私はセブルスの隣に座りたくさんのケーキの中から
好きなフルーツタルトを選んだ

『教授はどれに…そうでした、甘いもの嫌いでしたもんね』

「左様」

「美味しいのにねー」

『そうですよねー』

とルーピン先生と意気投合しつつ
朝食の代わりにケーキを食べる

『美味しいー!』

「でしょ?こっちのチーズケーキも美味しいよ」

はい、とケーキの乗ったフォークを差し出されれば
それをぱくりと食べた

『んんっ美味しいですー』

「だよねー!優季のやつも美味しそうだね」

『食べます?…はい!』

「…っ!ルー」

「ありがとう優季、…うん!それも美味しいね」

ねーと顔を合わせていれば
セブルスがいきなり部屋を出ていってしまった

「あーあ、やりすぎたかな」

『えっ?』

「セブルスは君にぞっこんだからね、いじりがいがある」

笑うルーピン先生が少しだけ悪魔に見えました…
大きな音を立ててまた部屋に入ってきたと思えば
大量のゴブレッドを持っている

「お前が取りにきたのはこれだろう?
これを持ってとっとと帰れ!」

『教授、ルーピン先生は』

「黙っていろ桜葉」

そう言われれば黙るしかなかった

「おいおい、あんまり優季をいじめないでよ。
泣きそうな顔してるじゃないか。
今日は薬も貰ったし大人しく帰るよ、ありがとうセブルス」

ふんっとさっさと出ていけ
とでもいいたげな教授を横目で見ながら
ルーピン先生を玄関まで送る

『先生、気分悪くされたらごめんなさい…』

「大丈夫さ、慣れているから。
優季は優しいね、ありがとう。
セブルスにはどうしようもなく
堪えられなくなったら僕のところに来なさい。」

待ってると軽く抱き合いまたホグワーツで
といってルーピン先生は帰っていった
セブルスの元に行くとやっぱりムスッとしたような彼
後ろからぎゅっと抱きしめる

『何をそんなに怒ってるんです?』

「…怒ってなどいない」

『嘘。眉間に皺、寄ってます』

「…………ケーキ」

『ケーキ、ですか?』
あぁこの人は間接キスですねていたのか

『教授とは間接キスじゃなくて
直接唇でキスしてるじゃないですか』

彼の唇を触れば少しだけ濡れていた
飲んでいた紅茶のせいかはわからなかったけれど

「それでも…だ。」

なんだか愛しくて彼の膝に乗り口づけをした

『ごめんなさい、セブルス。これから気をつけます』

答えは返って来なかったけれどまた唇を合わせた
唇を離した時に私はセブルスに大好きって言おうと思う
そうしたら多分また唇を塞がれるけれど
それもまたご愛嬌だよね

























(セブルス、大好き!)
((堪えろ理性!))


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bkm
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