握ったローブの暖かさ


あれから私は教授の家に来ている
それはアルバスおじいちゃんのはからいからだった

校長室に呼ばれたと思えば
気分転換も兼ねてスネイプ教授の家に
行ったらどうかということ

最初は断ったが教授が別に構わないというので
お邪魔したのだった
部屋は最低限のものしかなく
いかにも彼らしいなと思った

そして今教授は論文を書斎で書いていて
私は昼食の用意だ
今朝教えてもらった商店街で買ってきた魚をさばきムニエルに
たくさんのお野菜の入ったスープに焼きたてのパン

小さい頃からおばあちゃんと一緒に
料理をやっていたから大抵の物はできる

2階に上がりドア越しに声をかける

『ご飯できましたよ。
きりがいい所で論文をやめて食べましょうよー』

「わかった、すぐに行く」

と言うので階段を下り
外に散歩に行っているアールとグレイちゃんを呼ぶ
二羽はすぐにやってきて
あえて味付けをしなかったムニエルを啄んでいる

ほんとに仲良しさんだなぁ
あっ、アール!グレイちゃんにもあげるんだよ?

二羽の食事を見ていれば
後ろからなにをしてるんだね?
と声がかけられた

『今アールとグレイちゃんにご飯をあげてたんです
私たちも食べましょう』


早速席について手を合わせる

『いただきます!』

「…頂く」

ムニエルを食べはじめる教授

『…どうですか?』

何も言わずスープを飲む

『…セブルス?』

「美味い。」

『よかったぁ!』

そう言えばふっと笑われ
二人でたわいもない話をして昼食をとった

食後にグレープフルーツをむいて
彼の器に置けばこれを食べたら
どこかにいくかと問われた

『いいんですか!?』

「あぁ。優季もやることがなくて暇だろう」

『でも、論文は』

「そんなの後でだってできる」

果物を全部むき終わる頃には
もう行くことに決まっていた

じゃあ着替えてきますと
私用の部屋へ行けば洋服とにらめっこ
色々悩んで水色に小さい花柄のワンピースにボレロ
それにちょっと背伸びをして
ヒールのあるパンプスでいくことにした

『お待たせしました!』

「遅い、行くぞ」

とそこには無愛想なのは一緒だけれど
ちょっとスーツを着崩したような教授がいた
いつもはみない彼に胸はどきんと跳ねる

『でも何処へいくんですか?』

「ダイアゴン横丁に薬草を買いに行く用事がある。
それが終わったらお前に任せよう」

『でも私行きたい所なんてありません…』

「そうか、とりあえずあちらに行ってから決めるか。」
教授がばさりとローブを広げる

ん?なにしてるんだろう

「何をしている。早く入れ」

『えっ、なっなんで、』

「姿現しで行く」

そういうことね…
と教授の腰に腕を回せばと感覚がおかしくなった

ついたという彼の言葉に視線を変えれば
前に来たダイアゴン横丁だった

『やっぱり賑やかですね』

「人が無駄に多いだけだ。行くぞ」

すたすたと行ってしまうかと思えばゆっくりと
私の歩幅に合わせて歩いてくれる
しかも私が人混みに埋まらないように
前を歩いてくれる

ついささいなことが嬉しくなって
セブルスのローブをきゅっと握った

「…どうした?」

『セブルスが優しいから恥ずかしくて俯いちゃいそうで…
でもこうしてればはぐれないなって思いまして』
えへへと笑えば教授も柔らかく笑ってくれた


薬草専門店に行けばたくさんの薬草があった
そこに慣れたように入る教授
私も周りをきょろきょろと見回す
だが置いていかれないようについていく

教授が店の店主に薬草を頼むと
今日はずいぶんと可愛らしい彼女様とご一緒ですね
と言われて二人して顔を赤くして
店を出たのだった

「優季、どこかに用事はないか?」

『んーしいて言うならあそこの雑貨屋さんに行きたいです』

ちょっとファンシーなお店だったから
教授は外で待っているらしい
中に入ればシンプルだけど可愛いものがたくさんあった

アルバスおじいちゃんには
黒にゴールドの刺繍がしてある杖拭きを買い
セブルスと自分様に黒とピンクのペアのマグカップを買った
ピンクには黒の、黒にはピンクの小さな梟が描いてあった


買い物をして幸せな気持ちで外に出ると
教授が暖かいコーヒーを持って待っていてくれた
渡されたそれを飲めば砂糖とミルクを入れてくれたのか
ほのかな甘さが口に広がった

「買いたいものは買えたかね?」

『はい!ありがとうございます』

「他に気になる所は?」

首を横にふってないことを示す
近くの路地に入り静かなレストランで
食事をし家に帰ることにした

ベッドに入って今日のことを思いだして
また幸せな気持ちになった























(明日の朝はこのマグカップに暖かいコーヒーをいれよう)


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