目の前には貴方

最初のダンスも終わり
セドリックは飲み物をとってくると
行ってしまった

近くのソファに座ってまっていると
すごい勢いで腕を引っ張られ
訳もわからない内に空き教室に
入れられてしまった

「ひどいじゃないか、僕は許すと言ったのに」

『あなた、…誰?手紙を送ってきたのもあなたなの?』

近づくその男と距離をとりながら後ずさる
男は私を押し倒してフードをとった

「僕の顔を忘れるなんて…嫌だよ優季」

『あ、なた。クラコニス君…』

「セドリックなんかと踊って…
君は僕のものなのに…自覚が足りないようだ」

彼は私の手を頭の上で一つにまとめると
背中に手をまわしジッパーを下げる

『いやっ!やめてっ!』

抵抗するがそこは男と女
敵うはずがなかった

ドレスを腰まで脱がすと
彼は綺麗だなんて言ってあちこちに唇を這わせてきた

『いやだ!こんなの…誰か、誰か助けて!!』
首筋、鎖骨、胸元、お腹
たくさんのキスを彼が落とした所を見れば
赤い花が咲いていた

「無駄だよ優季、皆ダンスに夢中で誰も助けにこないさ」

器用に胸を揉み蕾を吸い上げれられた
だけれど快楽は一切なかった

『やっ、助け…きょ、う、じゅ』

泣きながら私は教授を呼んでいた
助けて欲しいと思ったのは紛れも無くスネイプ教授だった

『…っ助けて、スネイプ教授ーーっ!!!』

叫んだのと同時にドアが開いた
そこにはいつもは着ないドレスコードを着た
スネイプ教授がいた

スネイプ教授はすぐさま
私に覆いかぶさる彼に杖を向け
壁に突き飛ばした

私の姿を見た教授はひどく顔を歪めて
ローブで私の体を包んでくれた
薬品の香りがひどく懐かしく愛しくて
私を落ち着かせた

「桜葉、大丈夫か」

『…は、い』

助けに来てくれた嬉しさと
襲われたというショックから
私はただ泣くしかなかった

私を抱き上げクラコニス君を見下しながら

「貴様の処分は我輩がしっかりと
決めて差し上げよう。覚悟しておけ」

そう言って教授は私を抱えなおし
教授の私室へ連れてきてくれた

私はソファに下ろされると教授に抱きしめられた

「すまんっ……」

『なんで、謝るんですか?
教授は助けにきてくれたじゃないですか』

涙は止まらないけれど
できるだけの笑顔をスネイプ教授に向けた

「……無理に笑うな。思い切り泣けばいい」

その言葉に涙がまた溢れ出した

『怖かっ、た…です…!
何を、されるんだろうって…!』

スネイプ教授の力が強くなった気がした

『教授の、顔が…浮かんで、
助けに、来てほしいって…思ったら』

来てくれましたと言う前に言葉が出せなくなっていた
目の前にはスネイプ教授
唇には教授の唇があったから
触れるだけのキス

『きょう、じゅ?』

私を見つめる力強い瞳に私は目を逸らせなかった

「これで二回目だな、泣かせたのは。
もうくだらないことを考えるのはやめる。
優季、お前が好きだ」

『…ほん、とに?』

「あぁ。今まですまなかった。
マルフォイの件は単なる嫉妬なのだ
我輩が未熟故お前を傷つけた。」

すまんとまた謝るスネイプ教授の頬を両手で包む

『同じです、私も…教授が大好きです』

また泣けばキスで涙を拭ってくれる
啄むようなキスを身体中に降らせる教授
それは暖かい優しさのキスだった

ローブをめくり私の赤い花を見る
すると教授は舌打ちを一つして魔法で
点々と残るその花を一つ一つ消してくれた

花が全て消え満足そうな教授を見ると
なんだかおかしくて笑ってしまった

「……なんだ」

『いえ、教授が幸せそうだからつい』

ふふ、と笑えば首筋にちうと吸い付く教授
怖くはなかった
むしろ艶やかな声が一つもれてしまった
私を見てにやりと笑うと

「これで優季は我輩のものだ」

なんて言って抱きしめてくれる
やっと通い合った気持ちを抱きしめて
教授のくれるキスを受け止めた

























(私の騎士はとても優しいキスをする)


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bkm
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