夕方6時のシンデレラ


あの手紙をアルバスおじいちゃんに見せたが
様子を見るように言われた
それからあっという間に舞踏会の日

あれから手紙もなくやっぱり悪戯だったんだと思う

今日は授業はなくみんな
夕方からのパーティーに気合いが入っていた
今はまだ午後2時だよ…そんなに急がなくても
とため息をついていたら
みんなの髪を綺麗にまとめ終わった
ラベンダーが私を呼んだ

「ほら!次は優季よ!」

『えっ、私はいいよ』

「だめ!」
とすごい迫力で言われれば
大人しくラベンダーの元へいくしかなかった

その時朝からいなかったアールが
どこかの梟と一緒に大きな箱と小さな箱を持ってきた
急いで窓を開け中へ入れて
足のくくりをとってやりアールではない梟を
撫でてやれば気持ち良さそうな声をだし
羽を震わせ窓から出ていった


箱を開けると淡いピンクのドレスに
純白のショール
ダイヤモンドのような綺麗なイヤリング
それにシルバーのハイヒールが入っていた

メッセージカードを見れば
ぜひこれをきて舞踏会に行ってほしいと
アルバスからだった

会ったらお礼言わなくちゃ!
アールにもお礼を言おうと思い振り返ると

“俺も持ってきたのに…”

といじけ気味なアール
アールを抱き寄せてラベンダーの元へいく

『いじけないで、アール。ありがとう』

と膝に乗せラベンダーに髪をまとめてもらっている間
ずっと撫でていれば嬉しそうに
羽を震わせていた

「アール君は優季が大好きね」

アールを撫でるパーバティ
いつもは私以外嫌々撫でられているアールが
気分がいいのかパーバティの手を甘噛みまでしていた

「出来たわよ!」

『ラベンダーすごいよ!これ、私?』

「あなたに決まってるでしょう!」
なんてラベンダーは笑っている

巻かれた髪は綺麗にサイドでアップにされていて
耳元にはドロップ型のイヤリングが光っていた
それに魔法でメイクまでしてくれたようだ
そのおかげで睫毛は少しだけ長く
唇はぷっくりとなるようにグロスがぬられていて
頬は不自然でなく桃色に染まっていた

「優季!今度はドレスよ!」

と楽しそうなパーバティ

パーバティにドレスを着せてもらい
最後にハーマイオニーにネイルをしてもらった


時間はあっという間に過ぎ
みんなの準備が終わったのが舞踏会開始
30分前だった
皆それぞれのパートナーのところに急ぐ

私も慣れないヒールを鳴らしながら
待ち合わせの大広間前の階段へと向かった

そこにはもうセドリックがいた

『セドリック!』

「やぁ!…優季……」

セドリックが私を見て固まっている
何処か変かな…、

『変…かな?』

「いや!むしろ綺麗で…その、みとれたよ」

と赤面してに言うセドリックに
私も恥ずかしくなり俯いた
セドリックの一つの咳ばらいで
私は顔を上げた

「じゃあ優季、行こうか」

手を差し出されればそれに応え
ゆっくりと階段を下りていく

入り口にはたくさんの人がいた
まずトーナメントのエントリー者と
そのパートナーが最初に踊ることになっているからだ

「……綺麗」

どこからかそんな言葉が聞こえてきたが
私には緊張の余り聞こえてこなかった

「優季、緊張してる?」

『う、うん。すごく…!』

私の緊張ぶりにセドリックは笑った

『もう、ひどいよ。』

「ごめんごめん。でも今日は楽しもうよ」

ね?と手を握られれば
自然と笑みが零れた


「エントリー者とパートナーが入場です!」
とアナウンスがされれば
セドリックを確かに感じながら私たちは会場に入っていった






















(影でこちらを見ている目は憎しみで溢れていた)


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bkm
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