手紙から伝わる憎


舞踏会も日に日に近づいていた

今日も舞踏会の申し入れを断り
落ち着いて勉強する為に図書館に向かった

『はぁ、』

やっぱり断ると精神的にも
肉体的にも疲労がくる
少しだけ眠ろう、そう思い机に俯せると
だんだんまどろみの中へ吸い込まれていった

『…んぅ…』

目を覚まして時計を見ると
1時間程寝ていたようだ
どうりですっきりとしているわけだ

ふと肩に違和感を感じて見ると
男の子用なのか私には大きいローブがかけてあった
一体誰がかけてくれたんだろう
ふと横を見れば勉強をしていたセドリックと目があった

「起きたんだね、おはよう優季」

『セド、リック。おはよう
このローブセドリックの?』

「うん、君があまりによく寝ていたから
気休めだけどかけたんだ」

『そうなんだ。ありがとう!』

はい、とローブを返せば
どういたしましてと言ってまた勉強を始めた

私もやらなくちゃと羽ペンをとりだし
宿題に取り掛かった







ようやく終わって顔を上げれば
セドリックがこっちを見ていた

『…セドリック?』

「あぁ、ごめんよ。真剣にやってるなーって見てたんだよ」

『私だってちゃんとやるのよ?』

「優季は真面目だもんね、知ってる」

悪戯に彼は笑った
そう思えばいきなり真剣な顔つきになった

「優季は舞踏会のパートナー決まったかい?」

『ううん、まだだよ。』

「僕もなんだ。優季さえよかったらなんだけど
パートナーになってくれないかな?」

セドリックとならいいかもと
私は迷わず了承した

待ち合わせ時間と場所を決めて
私達は別れた



談話室に戻るとハリーとロンが
パートナーがいないと嘆いている真っ最中だった

『あら、ハリー。それにロン。』

「優季ー、僕はもう嫌だよ」

『どうしたの?』

「ロンはモリーおばさんが作ってくれた
ドレスローブが気にくわないんだって」

『せっかく作ってくれたのに…』

「でもママのセンスを疑っちゃうようなローブなんだぜ!?」

『愛がこもってるじゃない』

と言えばそうだけどなんて唇を突き出すロン

「そういえば優季はパートナーは見つかったの?」

『うん!セドリックが誘ってくれたから。
ハリーは?』

「僕はまだ…。そっかー優季は
セドリックかぁ…ってセドリック?」

こくりと頷けばハリーは目を丸くした

「今セドリックっていったら
セドリックにパートナーを申し込んだ女の子は
みんな断られたって噂だよ!?」

『…そ、そうだんだ…なんか悪いなぁ…』

セドリックは君のことが好きなんじゃないかなぁ
なんて呟くハリーに苦笑いをしながら
疲れたからと言い早めに部屋に戻った


部屋に戻るとアールが手紙を持ってきてくれていた

“優季、手紙だぞ”

『ありがとうアール』

肩に乗ったアールにほお擦りすれば
気持ち良さそうに目を細め
小さくホーと鳴いてケージに収まった

アールは基本的に私の部屋にいる
梟小屋の梟たちとは相性が悪く
アール曰く
“品性のかけらもないから嫌”だそう


手紙を開けば力のこもった字で

どうして僕じゃだめなんだ?
どうしてセドリックなんか選んだんだ?
僕は認めないよ、絶対に
セドリックに断りを入れれば今なら許してあげる



と走り書きされていた
名前は記されていないので
アールに聞いたが知らない男に
無理矢理足にくくりつけられて
飼い主まで持っていけと言われたと言う

“嫌だって言ってんのに無理矢理つけようとするから
思いっきり噛んでやったぜ”

と勇ましく嘴をカチカチさせるアール
ひどいめに合わなかったか聞いたら
大丈夫と言うのでひとまず安心した

この脅迫めいた手紙は気掛かりだったが
なるべくきにしないように引き出しにしまって
ベッドに横になった


明日一応アルバスおじいちゃんのところに行こうと決めて目を閉じた
心はざわざわと胸騒ぎがやまなかったそんな夜





















(大丈夫だよね、きっと悪戯だよね…?)


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bkm
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