弱虫な私と舞踏会

スネイプ教授と気まずくなってから
私はスネイプ教授といた時間を
ルーピン先生と一緒にいた
したがってスネイプ教授と話す時間も
零と言っていいほどなかった
授業の時以外顔を合わせないようにもしていた

ルーピン先生は優しくて
いつも私の話を聞いてくれたり
面白いことをして笑わせてくれた

だけど何かが足りない
もう答えは出ているのにルーピン先生に
甘えてしまう自分が嫌だった

そろそろ舞踏会のパートナーを決めなくてはいけない時期
でもそんな気分にもなれなかった

「優季、最近元気ないわ」

一緒に朝食を食べていたハーマイオニーが
私の顔を覗き込む

『大丈夫よ!元気だから』

「嘘。……私たち友達じゃない。
何かあったら相談くらいして欲しいわ。」

しゅんと落ち込んでしまった
ハーマイオニーに申し訳なく思った

『ごめんね心配かけて。』

「大概はスネイプ教授のことでしょう?
お見通しなのよ。」

『うっ…ばれてたかぁ…』

「で、何があったの?」


今までのことを話すと
ハーマイオニーからため息がもれた

「スネイプ教授も教授だし
優季。貴女も貴女よ。
優季がルーピン先生のところに
行けば行くほどスネイプ教授は
より頑なになってしまうと思うわ。」

『でもハーマイオニー、
私もうどうしたらいいのかわからないの…』

「優季」

『私は自分の気持ちに嘘はないと思ってる。
でも気持ちを伝えるなんてこと私にはできないよ…
なにより迷惑だって思われる。
迷惑だなんて思われるくらいなら
ずっとこの思いを隠して生きていく方がいいの』

「そんなのっ……」

『ありがとうハーマイオニー。
私はこれでいいの。これがいい。』

泣きそうなハーマイオニーを抱きしめる
ごめん、私が弱虫だから
ハーマイオニーまで苦しめちゃったね。ごめんね。

『ハーマイオニー!授業始まっちゃうよ!
行こう!』

ハーマイオニーはまだ納得しないようで
表情は曇ったままだったが
手を繋いで次の教室へと向かった

























一通りの授業が終わり廊下を歩いていると
ふと知らない人から呼び止められた

『あの、どこかで…?』

「いいや、初めてさ。僕はヴァン・クラコニス
単刀直入に言うね。僕と舞踏会で踊ってくれないかな?」

『その…だってまだ知り合ったばかりだし…』

「僕はずっと前から君を見ていた。
まぁ答えはゆっくりで構わないよジャスミン」

彼は私の手の甲にキスを落とすとすぐに行ってしまった


それから図書館で勉強をしている時
夕食を食べている時
談話室にいる時
何人もの人に舞踏会のパートナーを申し込まれた

断れる人は断って強引な人には
あとでアールに頼んで手紙を届けてもらうことにした



『つ、疲れた』

「あれだけ断ればね、疲れるわよ」

紅茶を差し出してくれるのはパーバティ
ありがとうと受け取り一口飲めば
ローズの香りが気持ちを楽にしてくれた

『パーバティはもちろん彼と舞踏会行くのよね?』

「えぇ。彼ってばね!恥ずかしそうに私を誘うのよ!」

嬉しそうに彼の話をするパーバティが
ひどく輝いて見えた

「優季は断り続けてるけど
いったい誰と行くつもりなの?」

「確かに!私も知りたいわ!」

パーバティとラベンダーは
こっちをキラキラと目を輝かせて見ている
ハーマイオニーは落ち着いて私と目を合わせる

『私は、舞踏会には行かない。』

「「「えぇ!?」」」

そんなに驚くことかなぁ?

なんでなんでとうるさい三人を宥め訳を話す

『好きな人とは行けないからかな。』

「でも生徒は全員参加だったはず…」

『えっ嘘!』

「嘘じゃない!マクゴナガル先生が言ってたじゃない」

『じゃあパートナーはどうしたら…』

「最初に誘ってくれた、なんて言ったかな…」

『ヴァン・クラコニス君。』

「その人でいいんじゃないの?」

『でもよく知らない人だし…』

「でも今日みたいに明日も
パートナーのお願いがあるでしょうから、
明日考えてもいいんじゃない?」

と眠そうなハーマイオニー
そうねと納得しその日は早めに眠ることにした
目を閉じれば教授の顔がふっと浮かんだが
頭を振るって消した



























(本当は行きたくなんかない。今は一人がいい。)


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bkm
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