ワルツに酔いしれ


トーナメントもだいぶ近くなった頃
スリザリンとグリフィンドールの上級生が
少し大きめの広間に集められた

合同の為スネイプ教授がいるため皆嫌そうだ

「今日は舞踏会のワルツの練習をします。
舞踏会では格式高く、優雅に踊らなければなりません。」

マクゴナガル先生の凜とした声が私たちを
動けなくさせた

『ワルツなんか踊ったことない…』

「私もよ優季。」
とパーバティ

「ではまず一旦見てからのがよろしいでしょう。
……Mrウィーズリー!」

呼ばれたロンは嫌々
マクゴナガル先生の腰に手を回し踊っていた

後ろでフレッドとジョージが
なぜだか嬉しそうに笑っている
もしロンの立場になったら
大騒ぎするだろうになぁ

ぼうっとくだらないことを考えていれば開始の合図
パートナーを探して踊る様だ

『ど、どうしよう…』

「おい桜葉、パートナーがいないなら僕と踊れ」

『ドラコ君!』

「嫌ならいいが。」

『嫌じゃないよ!
でも私、ワルツなんか踊ったことなくて…』

「お前は僕に身を任せていればいい。
フォローならしてやる。」

『じゃあ、お願いします。あとね…』

「なんだ早くしろ。」

『名前で呼んで欲しいな…って。
あっ、嫌だったら別に』

「早く手を乗せろ、優季」

ドラコ君は軽く微笑むと
私の腰をぎゅっと自分の方に引き寄せた

「ゆっくり、曲をよく聞いて。
後は僕に任せろ。」

曲が始まれば不安はすぐに吹き飛んだ
ドラコ君はすごく上手で
思わずずっと踊っていたいな、
なんて思ってしまった

曲が終わればマクゴナガル先生から
私とドラコ君を見習うように
なんて言われてしまった

授業が終わりドラコ君を見上げれば彼は得意顔で
目があえば楽しかったか?なんて聞く

楽しくないわけもなく楽しかったよ!
と答えれば髪をくしゃっと撫でられ
彼は教室を出ていってしまった


楽しかった気分が抜けないまま
スネイプ教授の所に向かう

『教授っ!私のワルツ見ていてくれましたか?』

「………あぁ。
ちょこちょことMrマルフォイにくっついていて
なんとも不思議なワルツでしたな。」

『…私ワルツなんて踊ったことなくて。
でもドラコ君がリードしてくれたからできました!』

ふふ、と笑えば彼の眉間に皺がまた増えた

「あんなに大胆なワルツも初めて見ましたな。
マルフォイを誘っているようでしたぞ。」

スネイプ教授は馬鹿にしたような
含み笑いを私に向ける

『そんな風な踊りはしていません…』

「そうですかな?
男に近寄り身体を押し付けてとても官能的だ。」

まるで夜での姿だ、と
独特の低音で囁かれれば背筋がぞく、と震える
今日のスネイプ教授はどこか変だ

『…どうしてそんなこと言うんですか?
私なにか気に障ること…』

「おや、我輩は真実を言っただけだが?」

自分が破廉恥だと言われたようで苦しくなった
なにより自分が好きになった人に
そう思われたのが一番の苦痛だった


私は教授から離れとにかく走った
誰にも見つからない場所で泣きたかったから

いつも教授と話した後は満たされたような
幸せな気持ちでいっぱいなのに
今日は悲しい気持ちが私の心に影を落とした

走りつづけていたら涙で前が見えなかったせいもあり
私は思い切り人にぶつかってしまった

『…、すみ、ませ…』

顔を上げればルーピン先生がそこにいた


























(教授だけにはそんな風に思われたくなかった)


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