元気になる方法


扉をバンッと勢い良く開けたのは
珍しく息を乱している教授だった

「…っんの、馬鹿者がっ!!!!!
死ぬところだったんだぞ!!!」

教授に怒鳴られた
当然だと思う
だから私はシーツを握りしめ
教授の言葉を待った

けれども一向に声は振ってこない
顔を上げれば苦々しい顔をした教授が
こっちを見ていた

『教授……あの、』

「…あまり、心配させるな」

微かに教授の手が震えた気がした

『すみませんでした…。
それと、ありがとうございました。』

教授の手を握ってお礼をいえば
私の頭を撫で今日はゆっくり休めと言って
教授は出ていってしまった















その翌日には退院した私は
ハーマイオニーたちに思い切り抱き着かれ
泣かれてしまった

同時に心配させてしまった申し訳なさが私を包んだ


みんなと別れ図書館に行く
溜まっていたレポートがあるからだ


空いている席に座り夕日をぼーっと見ると
肩を叩かれた

「やぁ優季。隣いいかい?」

『セドリック!どうぞ。』

「優季大丈夫?魔法薬学で
鍋を爆発させて怪我をしたって聞いたから」
『うん、もうすっかり!』

「よかった」

セドリックが笑うとなんだか和むなぁ
なんて考えていたらセドリックは
もうちょっとで宿題が終わりそうだった

私も急いでレポートに取り掛かる





あ、ここわかんない…
セドリックは本読んでるしなぁ

羽ペンを宙に浮かせたまま
羊皮紙とにらめっこしていると

「優季、わからない?」

『うん…ここなんだけど…。』

「そこの内容はもっと前だよ。
それと、ここはコルアスじゃなくてコレアスだよ」

『そっか…ありがとう!』

「どういたしまして。またわからなかったら聞いて」

『うん!』

セドリックは私が終わるまでずっと本を読んでいた




『…終わったぁ!』

「そっか、よかったよかった」

『あ、でも夕食食べのがしちゃったね。
私のせいだよね、ごめん…』

「それなら大丈夫。おいで、」

しゅんとなる私の手を引き
彼は階段をおり掃除用品の倉庫に入った
セドリックは杖を取り出し壁に向かって

「エマージ」

と唱えれば扉が現れ、それを開ければ
たくさんの小さい人のような生物が
大量の料理を作っては消していた

『すごい…。』

「こいつらは屋敷しもべ妖精って言ってね
要するにお手伝いさんみたいなものだよ。」
セドリックは近くにいた
妖精さんに話しかけた

「ねぇ、二人分の料理を作ってもらいたいんだけど」

「これはお坊ちゃまお嬢さま方。
どのようなお料理をお望みで?」

「僕はサンドイッチにコーヒー
優季は何が食べたい?」

『わ、私は何でも…』

「彼女にはコーヒーじゃなくてミルクティーを
あと甘いケーキを一つ頼むよ」

「かしこまりました。少々お待ち下さい。」

妖精さんはぺこりと頭を下げ消えてしまった

「びっくりしたかい?」

『すごく、ね。』

「僕も最初はびっくりしたさ。
けどここの屋敷しもべ達は礼儀を知っているからね。
怖がることはないんだよ。」

とセドリックはまた現れた
妖精さんに料理をもらい行こうかと
扉を開けてくれた

『あの、ありがとうございます!』

「ありがとう、おいしくいただくよ」

妖精さんも私と同じように
頭を下げていた

「優季は本当に礼儀正しいんだね」

と扉を閉めるとそこは倉庫の中で
倉庫を出る扉を出て私の手を引いて歩き出した


ここらへんでいいかなと
セドリックはベンチに腰を下ろした
サンドイッチなどをもらい食べると
すごく美味しかった

『美味しいー!』

「本当だよね。あ、飲み物熱いから気をつけてね」

『うんっ!』


ぱくぱくと食べていれば
残りはケーキだけになっていた

一口食べれば今までに食べたことのないくらい美味しかった

「優季は本当に美味しそうに食べるね
見ていて楽しいよ。」

『あんまり見ないで欲しいんだけど…』

「大丈夫だよ、可愛いから」

『セドリック!!』

「はいはい、怒らないで。
ほら、口に生クリームついてるよ」

セドリックが口元の生クリームをすくい舐めた
その行動がすごく自然でとても艶やかだった

「優季顔真っ赤だよ?」

『そ、そんなことないよ!』

クスクス笑うセドリックを
軽く叩くとごめんと笑いながら言われた
ごめんって思ってないのが丸わかりだよ…

楽しく話す二人を後ろの陰で
見ている人がいたのを二人は知らない


















(セドリックって物知りだね)
(えっ、セドリック先輩と知り合いなの?)
(うん。なんで?)
(あの人にすごい人気で取り巻きすごくて近寄れないんだよ!?)
(ふーん、そうなんだー)


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bkm
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