安心できる場所


またあの夢だ

やめてやめてと私は言うのに
私を殴りつける人
目からは涙が滲む

私が泣き叫んでも殴るのをやめない
体を丸めて耐えていれば
奥から人が現れ私に対して
何かを叫んだ

その人の顔はぼんやりとしか
見えなかったけれど
憎しみだけはしっかりと感じられた

また殴られる!と思った寸前で
私は目を覚ました


『っ…はぁ、はあっ……』


上にはグリフィンドールの赤
横には少し開いているカーテンから
ハーマイオニーが見える

夢かと顔に手を当てると
頬を伝う涙
自分が泣いていたことに気がついた

息を整えていたらまたあの光景が蘇る
一人でいることが嫌だった
体はガタガタと震えていた

今はとにかく一人になりたくなかった
こんなに人恋しいのは初めてだった

誰かと一緒にいたいと考えたときに
一番最初に意識がいった人のところへ
気がつくと向かっていた




談話室を出てまだよくわかっていない
校内を歩きだした

廊下を少し歩いて飾ってある絵画の中の人に
会いたい人の名を言い行き方を聞いた
なんとかたどり着き力の入らない手でノックした


するとガチャリとドアが開いた

「Ms桜葉。消灯時間は
とうに過ぎているのにはお気づきか。」

なんの用だと言わんばかりに
眉間に皺を寄せるスネイプ教授に
私は何も言わず抱き着いた

『…っ……』

「な、桜葉…っ、………震えているな」

寒いのかと問われれば首を横に振り
スネイプ教授のガウンを握りしめた
涙が安心からか止まらなかった

「……此処は冷える。とにかく入れ。」

私は教授に支えられながら部屋へ入った
ソファに座らされ教授から手を離すと
彼はそれを脱ぎ私にかけてくれた

「紅茶でも煎れよう、」

と立ち上がる教授を私はすぐに掴んだ

『行か、ないで、くださ…い』

お願いです、と教授を見れば
またソファに座りなおした

「何があったのだ。」

教授は私の涙を拭い肩を優しく
摩ってくれた


私はみた夢のことを話した
話をする間も教授はずっと
私のことを離さないでいてくれた

「…そうか、それで我輩の所へ来たと言うわけか。」

『すみません、ご迷惑でしたよね…』

「だがこれは不可抗力だろう。
大丈夫だ。夢は夢だ。」

だから安心しなさいと言われると
なんだか睡魔がおそってきた
それを教授もわかったのか

「……あれだけ泣いたら眠くもなるだろう
我輩が見ている。心配せずに寝ろ。」

私はいつのまにか横抱きにされ
教授のベッドに寝かされた

『教授、あの、…一緒に寝てください』

「そ、そんなことできるわけがなかろう!」

教師と生徒だぞ!と
いつもは青白い顔を朱に染めながら言う教授

『スネイプ教授、お願いします。
私…また夢見たらと思うととても…。』

そう言えば彼は眉間に皺をよせ

「このことは他言無用だ」

と言いベッドに入ってくれた
教授に擦り寄り寝間着を掴めば
また強くなってやってきた睡魔

意識をなくす直前にスネイプ教授に
ありがとうございますと言えば
彼は何も言わず頭を撫でてくれた











いつもなら眩しいくらいの光が
入るはずなのに今日はそれがない

目をゆっくりとあけると
目の前には寝間着から見える
青白いがしっかりとした胸板
顔を上げればすーと寝息を立てるスネイプ教授がいた

私の頭と腰には枕ではなくスネイプ教授の腕であり
教授に抱きしめられる形で眠っていたようだ
自分から頼んでなったのだが
この状況には一気に私の頬は赤くなった

とりあえず教授を起こさなくてはと
思って唸っていると

「ん、……起きたのか」

と掠れた教授の声が上からした

『教授っ、おはようございます!
あの…昨日は本当に、』

いきなり気分はどうだと
言葉を遮られた

大丈夫だと答えればよかったと
見たことのない柔らかな笑顔で
私の頬を撫でたと思えば私から手を離し
ガウンを着て行ってしまった

私もいつまで寝ていられないのと
さっきの教授の行為に驚きつつ
起き上がるとちょうど着替えが
終わった教授と目が合った

教授は私に自分のローブをかけると

「寮まで送ろう、ついてきなさい」

といつもの様子に戻ったようで
足早に先に行ってしまう
だが彼の優しさを知っているから
私はほっこりとした気持ちで彼に追いつくように
ローブを握りしめて走りはじめた

















(また教授を頼ってもいいですか?)
(…好きにしろ。)
(ありがとうございます!(やっぱり優しい人))


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