合わせる歩幅


マクゴナガル先生が仮の私の部屋に案内してくれ
埃っぽかった部屋を魔法で
使えるくらいにまで綺麗にしてくれた

『先生、ありがとうございます!』

「いいのですよ。
なにかあったら呼んでくださって構いません。
今日はゆっくりおやすみなさいな。」


そういって先生は部屋を出ていった

私は何をするでもなくベッドに横になった

時間はまだいつも寝る時間には早いのに
もう瞼が閉じそうだ
自分が思っているより疲れているのかもと
その眠気に抗わず素直に目を閉じたのだった






思ったより早く起きた私は
着ていた制服に身を包み
窓から外を眺めていた


コンコンとドアを叩く音


「優季、おはようございます。
私です、マクゴナガルです。」

『あ、はい!おはようございます!』

私が言い終わるのが早いか
ドアが開けられるのが早いか
それはきっと同時だっただろう

「あらあら、髪が絡まって。
こんな髪では買い物には行けませんよ。」

マクゴナガル先生は呆れ顔で杖を一振り
すると髪はすっと指通りが良くなり
いつもの見慣れた髪になった

『あの買い物って…』

「入学するにあたって必要な物があるでしょう。
それを買いに行きます。
付き添いはスネイプ教授に頼みました。
今日で授業がないのは彼だけなので…」


マクゴナガル先生は申し訳なさそうに言う
ここまでよくしてもらっていて
わがままを言ってはいけない

「私は大丈夫です。ありがとうございます」

『スネイプ教授は大時計の下にいるそうです。
あぁ、あなたは場所をまだ把握していませんね。
ではそこまでは一緒に行きましょう。』

「すみません、」

きちんと覚えなくては、と
マクゴナガル先生と歩き出した


時計の下には既にまた漆黒のローブを着た
スネイプ教授がいた

「お待たせしました。セブルス、よろしく頼みましたよ。」

「…承知した。」

『よろしくお願いします。』

「…ではMs桜葉、行きますぞ。」

『はいっ!』

マクゴナガル先生にお礼を行って
ずっと先を行く彼を追いかけた

門の近くまで来たと思ったら
いきなりスネイプ教授がこちらを向いた
そしていきなり何を言うかと思えば

「抱き着け」

『……はい!?』

「何度も言わせるな早くしろ。」

『で、でも抱き着けって……』

これでも花も恥じらう乙女に
この教師はなんてことを

「姿現しをする。手だけ触れても構わんが
身体の一部が行方不明でも我輩は知らん。」
だから早くしろと彼は言う
だけどこれをしないと買い物には
いけないのだろう
私は意を決して彼の胸に飛び込んだ

ふわりと薬品と彼独特の匂いが香り
初めての香りなのにどこか
懐かしいような落ち着くような
そんな感情を覚えた

そんなものも束の間
ぐらりと揺らぐ視界
怖くて彼にぎゅっと捕まる


「…おい、いつまでこうしているつもりだ。」
不機嫌そうな声が私を彼から離させた

『す、すみませんっ…。
…わぁ!…すごい…!街だぁ!』

人がごった返す街が路地裏からでもわかった

「…ふん。まずは金が必要だな。
お前はここで待っていろ。」

スネイプ教授は私にメモを渡し
書店に連れてきた
店員と少し話すと彼はどこかに
いってしまった

メモを見れば本の名前
これと揃えろということだろうか

「お嬢さん、頼まれた本ここにおいておくよ」

『私、ですか?』

「さっきの黒い人と知り合いだろう?
頼まれたんだよ彼に。
揃えて彼女に必ずここにいるよう
言っておいてほしいって。」

さっきもここにいるように
言われたのにどれだけ私は子供扱いされているのだろう

悶々と考えていると教授は帰ってきて
お金を払いまたどこかへ歩いて行ってしまう
せめて見失わないようにするが人が多くて大変だ

すると教授は少し行った所で待っていてくれた

「…何をやっている」

『だってスネイプ教授歩くの早いですっ…』

また歩き出した教授についていく
今度は小走りだったのが
私に合わせてゆっくり歩いてくれている
たまに後ろを見て私がいることを
確認してくれているのがその証拠だ

すこし大きい声をだして呼んでみる

『スネイプ教授。』

「なんだ。」

『ありがとうございます、うれしいです。』

教授は何も言わなかったけど
私はお礼を言えたので満足だった





それから杖や制服日用品まで全てに
付き合ってくれた
さすがに下着は一人で行けと言われたが

一通り全て買った頃

「Ms桜葉…」

『はい。』

「何が欲しい。」

『もう、必要なものは買って、』

「ペットはいらないのかね?」

『でも校長先生に迷惑がかかっちゃいます。』

「欲しければ言え。……我輩が出す。」

『そんな、余計にっ』

スネイプ教授にまでお金を使わせてしまったら
本当に申し訳なくて仕方がなくなる
ペットは本当は欲しいけれど

『欲しくありませんから…』

「ふっ。お前は嘘が下手だな。」

いくぞと歩き出されついたのは
ペット専門店

「ほら。どいつがいい。」

『でもっ』

「我輩がいいと言ったんだ。買え。」

これ以上反抗すると私が
あのふくろうのように檻にいれられそうだ


色々見ていると白のような、
薄い紫のふくろうが目に止まった
なんだかこの子に惹かれたのだ

「こいつか、ほお。紫とは変わっているな。」

『…すごく綺麗ですよね。』

私は小声でそのふくろうに話しかけてみた


『君、すごく綺麗だね。』

“俺と話せんのか?”

こくりと頷けば

“そりゃおもしれぇ!
俺、あんたにだったら飼われてもいいな”

『本当に?うれしい。』


後ろから本当に話せるのかという声がした
その声の主にこの子にしたいと言おうとしたとき

「この子はなかなか人に懐かなくて大変ですよ」

と店員さんが出てきた

大丈夫です、この子いい子ですからと言えば
後ろからこいつを貰おうと低い声がした

スネイプ教授に向きをかえ

『本当にありがとうございます。
私ふくろう初めてなのでどきどきです。』

ふふ、と笑えば微かに笑ってくれた気がした


私がふくろうを受け取ると教授は
荷物をたくさん持っている手に
更にふくろうを持ってくれた

『スネイプ教授っ少しくらい私が、』

「お前も一応女性だ。重いものは持たせられん。」

そうさらっという教授に
私は顔を真っ赤にしながらついて行った


『帰りはフルパウダーだ。
パウダーを握って、しっかりと
ホグワーツのスネイプの部屋と言え。』

「わ、わかりました。」

また来たときのような気分を味わうかと思いながら

『ホグワーツのスネイプ教授の部屋!』

と言えば薄暗く薬品の匂いのする部屋に私はいた

姿現すこしと比べて埃や煤がつくくらいで
こっちのがよかったなとさえ思った


「いつまでそこにいるのだ。
中にいけないだろう。」

とスネイプ教授に言われ
素直にどくと教授は持っていた荷物を置いた















(楽しかった!教授にお礼言わないと!)
(……紅茶でも飲むか)


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