困惑の交響曲


色彩豊かな湖に身体中を漆黒で染めた男が
歩いていく

その男、もといスネイプはこんな
光がまともに当たる場所を好まない人物であった
だが彼は湖の辺にしか自生していない
薬草の為とわざわざ来ていたのだ

さくさく、と草を踏み進める音だけが聞こえる


なんてこんなに陽が出ているのだ…

彼はそんなことを心の中で呟いた

ふと暴れ柳に目をやると
そこには一人の女が木に寄り添い眠っていた

その光景を見た瞬間
自分の眉間に皺がよったのがわかった


なぜ凶暴な暴れ柳に登っているのだ
今は落ち着いているが暴れだしたら
手はつけられん


そう思ったら薬草のことなど忘れ
声を張り上げていた

「おい貴様!!なぜ暴れ柳に登っている!」

『ん、んぅ』

と少女独特の弱々しいような
少し掠れたソプラノの声が聞こえた

「早く起きろ!」

『〜、…!〜っ!』

この世界では聞いたことのない言葉をしゃべる少女
少女は立ち上がったと思うと宙を舞った
同時に聞こえた悲鳴に身体が動いた


「なっ……くそ!」


間一髪のところで彼女を受け止め柳から離れる
ほっと息をついたところで怒りが沸々とわいてきた

「っ貴様は何故…」

『っ〜〜!』

頭を下げられれば謝られていることはわかる
だが言葉が理解できないのは困る


彼女の喉に杖を向け呪文を唱える
それはもちろん彼女を痛めつけるものではなく

「わかるかね?」

『えっあ、はい!』

「そうか、では…」

思い切り息を吸い込み

「まったく貴様はどれだけ暴れ柳が危険かも知らんでよじ登りおって!たまたまこやつが落ち着いていたからよかったものの暴れて弾き飛ばされたら貴様など造作もないのだぞ!!」

一気に吐き出した

彼女を見ると目を丸くして我輩をみていた
と思えばみるみる瞳には涙が溜まってゆく

「ご、ごめんなさ…、わたし、気がついたら暴れ柳さんの所にいて…それで…」

嗚咽を漏らしながら語る彼女は
泣いているのにひどく美しかった
自分が泣かせておきながらと自嘲した


「…貴様はホグワーツの生徒ではないな?」

こくりと頷く彼女

「名前は」

『桜葉…優季です、』

「そうか…まずは校長に説明か。
ではついてこい。」


ローブを翻し校内へ歩いていく
後ろから素直についてくる
彼女の啜り泣く声がやけに大きく聞こえた








(心に何かが堕ちた気がした)


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bkm
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