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人生、何がどう転ぶかわからないと思う。
ボースの高級レストラン・アンテローゼにて年代物のワインをタダ飲みするという一騒動を起こした珍妙な男と共に無事釈放され、今に至るわけなのだが。
一行が定期船の行方を調べている間に、南街区では強盗事件が起こっていたらしい。
明らかにただの嫌がらせ(意地悪?)で軍に捕まっていたため知る由も無かったが…
若き美人市長・メイベルから直々に依頼を受け、自称天才音楽家オリビエ・レンハイムを加えた一行は兎にも角にも南街区へ連れ立っていくのであった。
「ところで、きちんとした紹介がまだだったねレフ君」
「はぁ…」
ヨシュアより半歩前を歩くレフの微妙な反応に気づいているのかいないのか、気障な帝国人は澄ました顔で話しかけてくる。
道行く人々からの好奇の目が突き刺さ
るのは、遊撃士が4人も揃っているのに加え帝国人の男が醸し出す妙な空気のせいだろう。
「僕はオリビエ・レンハイム。常に美しいものを追い求める詩人にして演奏家…芸術的「美」には目が無くてね。まぁ言ってしまえば恋の狩人さ」
なんかえらいのが付属品としてついてきたな…。
別にハントされたくねぇんだが。
「このおにーさん…あたま大丈夫なの?」
レフは先頭を切るエステルにコソッと話しかける。
「マトモに相手したら疲れるだけよレフ」
なるべく離れて歩いたほうがいいわ。
エステルは少し強引にレフの手を引いた。
その後ろでシェラザードが笑う。
あからさまに他人事といった感じだ。
「彼何でもアリだから気をつけなさいな、ヨシュアなんかドストライクらしいわよ」
「なっ…」
ば…バイっすか。
「君の周りにはいないタイプだろう、これがなかなか理解されないんだよしくしく」
「いや、それつまりあんたがおかしいんじゃ」
「君も随分言う人だねぇ。相棒とは気が合いそうだ」
沢山の人々で賑わうボースマーケットを通り過ぎ、南街区へ続く階段を下りる。
そこには、閑静な住宅街が広がっていた。
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