TOP
turn right!

page list
______17

「アガットはコイツに似てるよ。色だけじゃない。目とか、性格とか」

レフは穏やかな顔で赤毛を梳く。
汚れた背の土を払えば、「アガット」は低く唸ったが随分大人しいものだった。

「今日初めて会った奴に理解される覚えはねえが。つうか、さっきも言ったが敬称つけろよ」
「いいよ。了承してくれなくて」

ニッと笑ったレフに、アガットの鋭い目が大きく見開かれる。
ザァ、強い風が街道の木々を揺らし、葉を散らせていく。


「勝手に呼ぶから」


懐かしい。
忘れることなんて出来はしない。

あどけない笑顔がそこにあった。


「じゃあ…好きにしろよ」


締め付けられる胸の下、心臓は大きく脈を打ち、声が震えた。

こんなに依存していたなんて、笑わせる。
自分は何処までも弱いままなのか。
この子供から離れなくてはいけない気がした。
これ以上近づけば、自分は。

「良かったなーアガット」
「ぐるるるるガウッ」
「うわぁ噛むな!気に入らないのかよっ」

これは罪だ。
目を逸らして過去から逃げているだけで前になんか進めていない己を、窘めに来たのか。

ルーアンに居た頃から、自分は何も変わっていない。
生きた心地もしなくて、ただ望むことをやめた。
精一杯伸ばした両手が無意味だと知るのが怖かった。
だって自分の大切なものは、みんなこの手から零れ落ちていくから。
何の役にも立たないこの両手を呪って、行き場のない怒りをぶつけて。
いっそ、大事なものなんて無い方がいいと思いながらも、どこかで探していた。

あの温もりと、笑顔と、安らぎを。



「ちょっ…アガット、どこ嗅いでんだよ、バカッ」
「……」
「あっ…そこはダメ、脱げるッ!」
「…紛らわしいからやっぱりやめろ」




next..005

複線また張ってみたり。

エステルはポメラニアン
ヨシュアは兎に角 黒猫
シェラ姉様は女豹←
アガットはコヨーテ
カシウスパパはゴールデンレトリバー

なイメージがあります。
レーヴェお兄ちゃんは考えるまでもなくホワイトライオンですよね。

獣化パラレル書きたいなぁ
48/52

  →
しおり

TOP

「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -