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それから、普段レフの家のソファやカーペットにするようにレフの頬にぐいぐい鼻を押し付けてくる。

「おい…何だよ、甘えてんのか」
「がうっ」
「うわ!怒るなよ」

しかし何か妙だ。普段はこんなに懐いてこないというのに。
噛みつかれて引っ込めた手の甲に息を吹きかける。
不意に温かいものが触れたと思ったら舐められていた。
柔らかい赤毛の毛並みに沿って撫でてやると大人しく目を閉じた。
鋭い犬歯には目を見張るけれど、たまにはこんな可愛いところもある。

「ぐるるるる」
「どうした?」

ふと、顔を上げた彼が何か別のものに対して唸っているのに気づく。
彼が睨みつけるのは、レフの後方だった。

「あ。アガット」

見覚えのある赤毛に目を見開く。

「敬称を付けやがれ」
「何してんの」
「そりゃこっちのセリフだ」
「ウーッ」

犬に乗っかられ尻餅をついたまま見上げてくるレフに言葉を返し、彼はぞんざいに頭をかき回す。

「…」

並べてみて改めて思う。
双方の赤毛の野獣は、その不貞不貞しいところといい風貌といい、本当によく似ていた。
アガットは犬に一瞥をくれた後レフに向き直る。

「つうか、ロレントに帰ったんじゃなかったのか」
「ボース支部配属になったんだ」
「へえ」
「暇なら手伝ってよ」
「暇じゃねぇ」
「あ、そう」

相変わらず、愛想が無い。
レフは犬を押しのけて体を起こした。
小さい頃は可愛かったのに、こう大きくなってしまっては重くて抱えるのも無理だ。

「そいつは?お前の犬か」
「え…?いや、ロレントの野良犬だけど」

キョトンとしていると目線に合わせてアガットがしゃがみ込んだ。

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