TOP
turn right!

page list
______14

「得物は、魔獣を一刀両断にできるほどの質量のある大剣…言っておくけど、かなりの凄腕よ」

尊敬する彼女にここまで言われれば此方も相手の実力を認めざるを得ない。

「ふん、凄腕だろうが失礼なヤツには違いないわよ」

エステルは眉を吊り上げて「ケッ」女の子らしからぬ悪態をつく。

「そういえば、アイツも父さんの知り合いみたいだけど」
「父さんの実力は認めているけど好意的とは言えない態度だったね」

彼女に続いてヨシュアの一言。
シェラザードが苦笑混じりに答える。

「色々と事情があってね…先生に対して突っ走ってるのよ」
「ふーん…まぁ、どうでもいいか。あんな失礼なヤツのことなんか。ラヴェンヌ村に急ぎましょっ!」

結局どうでもいいんじゃないか。
溜め息をつくヨシュアの肩をシェラザードが軽く叩いた。


* * *



シェラザード達がラヴェンヌ村へ聞き込み調査を続ける一方で、ボース支部に配属されたレフはというと、意外な「知り合い」に再会していた。

「お前の縄張りはこんなとこにまであるのか」

西ボース街道で魔獣の討伐依頼があったため出向いたのだが、その魔獣は情報にあった場所から少し離れたところで既に伸びていた。

「ふぁ……がるるる」

魔獣を尻に敷いて呑気に欠伸をしているのは赤毛の獣。

「クゥーン」

ばーか。
此方に気づくと、彼はまた人を小馬鹿にした態度で鼻を鳴らす。

「コレ俺が報告してもいいのかな」
「わふっ」

手帳にどう書いていいものか迷っていたその時だった。
赤犬は物凄い勢いでレフの胸に飛び込んできたのだ。
突然のことにバランスを崩し、倒れ込む。
レフの上に乗り上げた犬はフサフサの尾を振り回している。

主人(ではないが)を見つけて嬉しいのか。
可愛いところあるじゃないか。
撫でようとして、軽く噛まれた。
…前言撤回だ。

45/52

  
しおり

TOP

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -