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「な、なによ?じろじろ眺め回しちゃって…」
居心地悪そうに口を開くエステルに、赤毛は小馬鹿にした態度で随分と失礼な言葉を返して寄越した。
「黒髪の小僧はともかく…そっちの娘はドシロウトだな。本当にオッサンの娘なのか?」
「あ、あんですってー!?」
見習いだとはいえ自分も日々腕を磨いているつもりだ。
カチンときたエステルが突っかかる。
「彼女は正真正銘、カシウス・ブライトの娘です。僕の方は養子ですけど」
「ふーん、そうなのか?ま、そんな事はどうでもいいか」
「ど、どうでもよくないッ!」
ヨシュアの説明に少し驚いたようだったが、興味も逸れたらしい。
彼はまた三人の来た方向へ歩き出す。
「じゃあな、シェラザード。ガキどもに足を引っ張られないようせいぜい気をつけるんだな」
「はいはい。あんたこそ突っ張りすぎて痛い目に遭わないよう注意なさい」
「はは、肝に銘じとくぜ」
シェラザードにだけ顔を向け、赤毛は背中の大剣をガチャガチャ慣らしながら去っていった。
最後まで愛想の無い男だ。
「な、なんなのアイツ!めちゃめちゃムカつくんですけどー!」
赤毛の去った方向を暫く眺めていたエステルだったが、姿が見えなくなった瞬間思うままに不満をぶちまける。
「なるほど…今の人が重剣のアガットか」
「重剣のアガット?」
「アガット・クロスナー。遊撃士協会の正遊撃士よ。特定の所属支部を決めずに各地を回りながら活動してるわ」
誰ソレ。どうやら何も知らないらしいエステルのためにシェラザードが説明してやる。
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