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「シェラザードか。妙なとこで会うもんだな」

相手はシェラザードの知り合いだったようだ。
随分と無愛想な男だ。
続けられる低い声に、愛想など振りまく様子が想像できない。

「それはこっちの台詞だわ。王都方面にいたと思ったけどあんたも事件を調べに来たクチ?」
「いや、ヤボ用でな……」

見事な赤毛。その額には深緑のバンダナ。
シェラザードの知り合い、それも遊撃士のようだ。
ヨシュアとエステルも立ち止まる。

「そういや、例の事件は空賊の仕業だったらしいな?しかしお前が来たんだったら安心して任せられるってもんだ。せいぜい頑張ってくれよ」
「なによ、冷たいじゃないの」

暗に手伝う気はないと言うのだろう。
カシウスの行方を心配しているのは何も自分たちだけではないというのに。
相手の言葉に眉を顰めたシェラザード。

「先生が捕まったかもしれないってあんたも聞いているはずでしょう?」
「捕まった?あのカシウス・ブライトが?」

「冗談キツいぜ!」赤毛は豪快に笑い飛ばす。

「なんかの間違いに決まってるさ」
「あたしもそう信じたいけど…」

(何なのかしら、この人…)
(分からないけど…遊撃士であるのは確かみたいだね)

小声で呟くエステルに、ヨシュアも小さく囁いた。

「ところで…そこのガキどもは何だよ?見たところ新入りみたいだが」
「ふふん、聞いて驚きなさい。カシウス先生のお子さんよ」
「あのオッサンの子供かよ。ふーん、こいつらがねぇ…」

赤毛はエステル達を上から下までじろじろと眺めてくる。

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