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turn right!

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「お前も接近戦向けだろ。どうせ使えねえ。アーツで援護しろ」

アガットはレフの手元を見て一目で攻撃型を把握すると短く指示を出す。

「は……ハイ」

素直に頷き従ったが、あまり気分のいいものではなかった。

使えねえ、とは失敬な。
自分でもわかってはいるが少しカチンときた。
正遊撃士だからって調子乗ってんじゃねえよ。
…こんな状況になくても言えるわけがないが。

「がぅうう!」
「っ…ぶねぇ!」

効果の小さい回復魔法の詠唱時間はそれ程かからない。
アガットが回復したのを見届けて安堵したのも束の間、今度はターゲットがレフへと移ったことに気づいた。

渾身の力で振り下ろされた拳はレフの頬すれすれで交わされ、後ろの大木に叩きつけられる。
ずしん、腕が幹に突き刺さったことで魔獣の動きが一時的に止まった。

ガードが間に合っていなかったら、今頃関所は愚かロレントまで飛ばされていたかもしれない。
今の自分があんなものをまともに喰らえば、まず即死だろう。
帰る手間が省けていいどころの話ではない。
夕べのエステルの例え話ではないが、冷たくなって帰ってくるのは己だったかもしれない。
既に冷えた肝が凍りついていく気がした。

「ていうか魔力もう3しか残ってないんですけど…!」

気付けば左腕のオーブメントに罅が入っていた。
手首の上からやたら熱が籠もっているのを感じる。
先程の一撃で破損したのだろう。

「ぐるるる、ォオオオ!」
「しまっ……」

動力器に気を取られている間、頭上に出来た影に気づくのが遅かった。


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