TOP
turn right!

page list
______15

「アストンさん。誰コイツ」

ガキ、と言われてカチンときたレフが噛みつく。
初対面でいきなり失礼な奴に礼儀など要らないだろう。
その行動自体がガキだと言われるのだと、彼はまだ気づいてはいない。
胸元の遊撃士協会の紋章が正遊撃士のものだと気づいても、見なかったことにしている時点で。

「コイツって…こほん、彼は正遊撃士の方だよ。偶然寄ってくれたんだ。彼にその子たちのことは頼めるようだから、レフ君はロレントの方に戻ってくれるかな?」
「え…」

言われるまでもない。関所を挟んだ向こうは別の管轄だ。
レフの仕事はこれで終了。引き渡すのは至極当然のことなのだが。

「え、じゃねえよ。何面喰ってんだ」
「レフ君…」

困った顔で笑うアストンにレフは渋々頷く。

「やだ。アリスこのおじさんこわいもん」
「おれもこっちのおにーさんがいい」

後ろでレフの裾を握りしめ、二人が呟いた。

「おじ……誰がだ、誰が。俺はまだ20代前半だっつの」
「、…っ…ぶ、くく…」
「おい何笑ってんだ」
「べ、べつに……だって、おじ…おじさ…」

二人の言葉にレフは吹き出しそうになるのを必死で抑える。
レフを睨みつけ、赤毛が低く唸った。

「橋の向こうまで、一緒に行こうか」

だがここでもたついても仕方がない。
二人が帰る気になってくれないと困るのはレフも同じだ。
先に部屋を出たアガットに続いて、レフは二人を連れて部屋を出た。

番をする兵士に軽く会釈して、橋を抜けたところで立ち止まる。
レフは不安げに見上げてくる二人の目線に合わせて屈んだ。

「どうしてもだめ?」

アリスが泣きそうな顔で縋ってくるから絆されそうになるのを堪え、極力笑顔で口を開く。

「通行証がないと向こう側にはいけないんだ。ごめんな、二人とも。このこわいおじさんの言うことちゃんと聞くんだよ」
「やだ!」
「ころされるぅー!」

二人はなかなか言うことをきいてくれない。
終いには暴れだす始末だ。
新調仕立ての服が伸びる。


 
29/52

  
しおり

TOP

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -