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「ようレフ。無事準遊撃士になれたんだってな。おめでとう」
「あ…、ありがとうございます」

ギルドの戸を開け、アイナや先輩の遊撃士に軽く会釈程度の挨拶をする。
話しかけられれば応じるが、こういうのはエステル達に任せていたせいか少し緊張した。

しっかりしなくては。
これから暫く、一人で行動しなければならないのだから。
人見知りなどと言ってはいられない。

見渡したギルド内には、顔見知り程度の遊撃士が2人いるだけでリッジは見当たらなかった。
彼も別の依頼で忙しいのだろう。
レフは入って直ぐのクエストボードを見上げ、遊撃士手帳に書き足していく。

まずは自分一人で出来そうな依頼から。
それ以外の手に負えない依頼はリッジや別の先輩の遊撃士に任せなければいけないから、なるべく細々とした依頼は自分がやっておくべきだ。
先輩達の負担を少しでも軽くしなければ。

初めに選んだのはちょっとしたお使い。
子守、犬の散歩、マセた少年と一緒にセプチウムについての調べ物。

いくつか終わった後、ギルドに寄れば緊急の依頼が入っていた。

「ミルヒ街道沿い…ティオんちで害虫駆除、と」

どれほど酷いのか知らないが緊急と言うくらいなのだから余程の数なのだろう。
農場とはいえ友人の家ならば勝手も分かるし、自分でも力になれそうだ。

手帳を仕舞い、リクエストボードに背を向けた所でアイナと目が合った。
報告するつもりだったからどちらにせよ受付には用がある。
手招く彼女に、疑問符を浮かべながらもレフはカウンターへ歩み寄った。

「エリーズ街道の魔獣討伐依頼、ミストヴァルトの希少植物採取………報告は以上です」

いつもの澄まし顔でレフの報告を聞いていたアイナは、報告を終えて彼が手帳から顔を上げるとにこやかに微笑む。

「ふふ、期待どおりの大雑把な報告ありがとう。まぁ最初は仕方ないけれど」
「あ?みんなどんだけ細かく報告するんだよ…」
「そのうち分かってくるわよ」

完全に子ども扱いな物言いに少しカチンときたレフ。
聞き返すが、相手には適当に流された。
その笑顔に勝てる術が見つからない。

「でもお疲れ様。なかなか頑張ってるじゃない」

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