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「怒ってるじゃないか。ていうか、その、なんか…布団に入ってくるの、やめてくんない?」
「何よう。前はよく一緒に寝てたじゃない。三人で」
「む、昔の話だろ、女子はあっち!自分の部屋戻りなさい!」
仮にも男二人の部屋に女子が一人で入ってくるなんて。
(ヨシュアとは違って柔らかいしいい匂いするしって何を考えているレフ…!)
何だかわけがわからなくなってきた。
自分で自分に突っ込むレフ。頭がくらくらする。
ヨシュアはよく平気だなと盗み見れば、放心したように固まっていた。
思考停止か。やるなコイツ。
レフの額に嫌な汗が伝っていった。
「ヤダ。明日出発するのに…もう、暫く会えないんだよ?それなのに」
「エステル…」
これが漫画だったら、背景はふわふわのトーンで「きゅん」と音でも書かれているんだろう。
自分の顔も頬を染めて絆されそうな顔になっているに違いない。
レフは引き攣った笑いを返すしか出来なくなっていた。
「どうする?レフ。何日かたってあたしが冷たくなって帰ってきたら…」
「ギャー!縁起でもないこと言うなよ!その手の話苦手なの知ってるだろー!?」
「どうするー?ア●フル〜♪」
「アイ●ル関係ねえええ!」
「うるさい」
それ以上聞こえないよう大声で叫んだ挙句己の耳を塞ぐレフ。
そのお蔭でようやく我に返ったヨシュアが、エステルの首根っこを掴んでベッドから引きずり下ろすまで、0.06秒…たぶん。
某小金井少年が暗器の変形にかかる時間と同じくらいの。(分からない子は某少年誌烈火のフレイムを愛読しましょう)
「なんで毎回君たちは僕の部屋で騒ぐんだよ」
くしゃくしゃになったパジャマを直しながら睨み返すエステルなど鼻であしらうヨシュア。
エステルはそれでも尚食い下がる。
「ヨシュアもレフが考え直すように言ってよ。あたしじゃ上手く言葉に出来ない」
「僕だって同じだよ…それにレフが決めたことなんだから、あんまり口出しするのもよくないよエステル」
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