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所在なくスプーンを動かしながら、「あんただけ置いてけぼりじゃない」シェラザードはそう小さく呟く。

「でも、俺がここにいればお前たちの抜けた穴を埋められる。正遊撃士になれるようにここで頑張るよ」
「レフ…」
「ほんとについてきてくれないんだ…レフのいじわる…」

ぼそり。エステルの若干恨みのこもった言葉がレフの胸に突き刺さった。
同時に、僅かに目に溜まるそれは、演技だろうが正真正銘の涙。

「い、いじわるって…お、俺は別にそういうんじゃ、ちょっと、マジ泣くなよ…」
「泣いてないもん!ヨシュアーレフがいじめる!」
「いや苛めてるのは君だから!明らかに!」

たじたじになったレフとエステルを見比べ、焦るヨシュア。
収集をつけたのはシェラザードの言葉だった。

「あらーあたしとヨシュアだけじゃ不服だっての?エステル」
「へ…」

変にテンションが上がったのか、本格的に流し始める涙が止まったのは、先輩遊撃士のそのたった一言。

「あたしもついてくわ。あんたたちだけに任せるわけにいかないし、先生の安否が心配な今、大人しく留守番なんかしてられますかっての」

定期飛行船は軍の捜索活動が終わるまで運転中止になっているらしい。
ボースまで、街道を使って歩いていくしかなさそうだ。
協会の仕事はアイナに頼んで、レフや他のメンバーに回してもらうということで話は落ち着き、その日の夕食はお開きになった。


* * *


カシウスの部屋にシェラザード、ヨシュアの部屋にレフが寝ることになり、夜も更けた。
時刻は1:34。

「…」
「…」

良い子は寝る時間。
…のはずなのだが。

「…エステル」
「なによ」
「機嫌、直してよ」
「別に怒ってないもん」

膨れ面のエステルは、ベッドの上でヨシュアとレフに挟まって枕を抱きしめる。
寝ようとしたところにノックも無しに飛び込んできた結果、追い出せずこうなってしまったのだが…
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