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「いれてないよ?蜂の子とかしか
「はっはちのこ?ど、どこ?高級食材!精力増進効果絶大…!」
「冗談だよ。つーかそこに食いつくんだ」

やっぱ普通の女の子じゃない…
レフは引き攣った笑顔で返した。

でも、本当に元気が出たんだ。よかった。
やはりエステルはこうでないといけない。

「ほらほら、シェラ姉も遠慮しないで」

箸の進んでいないシェラザードに、エステルが誘惑の言葉を続けた。
「げっ」ヨシュアの顔が一気に蒼白になる。
あれを勝手に飲んで、嘆き悲しむ父親の顔がまざまざと目に浮かぶ。
あのヘタレ顔だけは…正直もう見たくない。気味が悪い。

「あ、父さんの秘蔵のワインでも飲む?確かスタインローゼの20年物だったかなぁ…」
「ス、スタインローゼ?しかも20年物ですってぇ!?」
「ちょっと、シェラさん」
「はっ…コホン、遠慮しときます」

エステルの誘惑の言葉に、明日の職務も忘れかける銀閃。
食いついたところをヨシュアに制され、我に返る。

「ところで、何をしてたのよ?ヨシュアとレフが呼んでも降りてこなかったじゃない」

手前の籠からパンを一つ取り、レフがジャムを塗る。
一口千切ったそこにまた塗りたくり、それをヨシュアの口へ突っ込んだ。

「ちょっとレフ、いきなり…何…むぐ、」
「食が進んでない。こうやって食べさせてやれば食うかなって」
「僕を君の犬と一緒にしないでよ」

犬、とはレフの部屋によく遊びに来る野良犬のことだ。
自分の家宜しく、汚れて帰ってくるのでたまにシャンプーしてやっているらしい。
燃えるような赤毛をした彼はレフ以外には懐かない。
飼っているようなものなのに、それでも名前はつけていないようだ。情が移るといけないと言って。

「んー?ああ、替えのパジャマを探してたの。奥に仕舞ったお気に入りがなかなか見つからなくってさ〜」
「パ、パジャマ…?」

咥内で広がる甘みに「ジャムつけすぎだ」ヨシュアは顔をしかめる。


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