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何がそうでもないわよ、なんだ。
傷口を抉られた気分。レフの顔が更に曇る。

「シェラ姉…」
「シェラさん」

ブライト兄弟の視線が一気にシェラザードへと集中する。
無言の「レフをいじめるな」の視線に、シェラザードは身震いした。

「半分冗談よ、もう、怒んないで」

本当に末恐ろしい姉弟だ。

「半分?」
「どういうこと?」
「で、何なんだよ」

聞き返す三人に、銀閃はこほんと一つ咳払いをした。

「今のはXVII星の逆位置。正位置は真逆に存在するの」
「…はぁ」

レフの気のない返事に、彼女は続ける。

「人の心に素直で純粋な欲求をもたらすことで、成功へと導く道が開けるの。あなたたちに言えるのは、まずは「現状への感謝」。少しくらい辛いことは乗り越えなきゃ」
「シェラ姉ー…いいこと言ってるようで言ってないわ。「我慢しろ」ってことよねつまり」

エステルまで意見してきた。

「勉強になります」
「ヨシュアはいい子ねー。ほかの二人と違って」
「む」
「悪かったな」

神妙な面持ちで聞いてくれるのはヨシュアだけだ。
若干切ないが、一応言っておくことにする。

「我慢……ね。まぁいいわ。確かにそうだけど。だからね、私が言いたいのは、表と裏は隣り合わせで存在してる。裏を返せば成功へと変えていけるのも自分ってことよ」
「…」

レフの頭をぽんぽん撫でてやってから、シェラザードは書類を纏め、整えた。
そろそろ三人を帰らせなければ。
自分にもやることがあるのだから。

「まぁ頑張んなさい。来週には正式に後輩になれるはずの、あなたたちへのおねーさんからの助言は以上よ」
「あ…ありがと。シェラ」
「どういたしまして」

滅多に呼ばないのに。
久しぶりに名前を呼ばれ、嬉しそうに唇を歪めた。


「じゃ、帰ろっか。レフもご飯食べてくでしょ?」
「うん」
「さっきアイナさんから聞いたけど、父さん帰ってきたみたいだよ。もう家にいるかもしれないね」
「あのオヤジ!やっと帰ってきたかー」

夕暮れに視界が霞む。
くたくたの体を引きずって、三人はギルドを後にした。

父親・カシウスの帰り(というか土産)を期待して。




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11'05/20 10:26

ロレント内半周してみました。てかティオも市長も出すの忘れた;;
 
14/52

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