TOP
turn right!

page list
_______7

パンデュ爺さんの代わりに時計に使う部品整理を行い、追えると項目が埋まる。
そうこうしているうちにお昼になった。

「お腹すいたー。何か食べ行こうよ」
「そうだね…ちょっと休憩もしたいし」
「じゃあエリッサのとこ行くか」

エリッサの家が経営している居酒屋アーベント。
扉を開けば、数人の女性客がグループで仲良さそうにお喋りをしていた。

「エリッサ、なんかご飯ちょーだい」
「ちょうだいって…ここはお店なんだけどー…」

出会い頭に「飯をたかりにきた」ことを全面アピールするエステルに、看板娘エリッサの眉間に皺が寄る。

「こらエステル…ごめんなエリッサ、ちゃんと払うから。今日のお勧めは?」
「レフ、お金なんていいのよーねえ何食べたい?何でも言って?」
「うわー…掌を返したように」
「こういうところにはレフをつれてくるべきだよね」
「お前らなぁ…」

颯爽と注文を受けるエリッサから半歩引くエステルを余所に、ちゃっかり椅子に座るヨシュア。
二人もそれに倣う。
厨房へ入っていくエリッサの背中を見つめていると、振り向き際にレフに手を振った。

「あー…いいのかな。毎回タダにしてもらって」
「まあいいじゃない」

本日何回目かの愛想笑いが引き攣っている。
レフの言葉に、エステルは全く気にもしていない能天気な声で返してきた。

「私の友人の厚意だ、遠慮は無用だよ、レフ君。お言葉に甘えて食いまくろうではないか」
「エステル、口調がオッサンだよ」
「どこかの社長さんみたいだね…」

何はともあれ今日の昼代は浮くらしい。
いいような悪いような…

レフは味付けの濃いつまみ(チーズ添え)を口に放り込んだ。
 
12/52

  
しおり

TOP

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -