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「まぁ、その辺は実際に先輩から聞いてみて。2階でシェラザードが待ってるわよ」
「はーい」
「わかりました」

アイナの指示通り、三人は受付の左手にある階段を登った。

「何させる気なんだ?」
「うーん僕にもわからないけど…」

若干不安があるが兎に角行かなければならない。
言われるまま階段を上がり2階へ。

2階にはシェラザードがタロットカードを弄びながら三人を待っていた。

「シェラさん」
「シェラ姉ー。おはよう」
「…」
「来たわね三人組」

手元のカードの束をテーブルに起き、シェラザードは三人を交互に見比べる。
相変わらずあまり目を合わせないレフに「仕方無いわね」と眉を下げた。

幼い頃から他の二人と同じように接してきたつもりだったけれど、あまり懐かれなかったようだ。
生まれも別で、血縁でもない。性別も違う。
三人とも性格が違って当然だ。それでも三人を弟や妹のつもりで可愛がってきたから、少し寂しいような気持ちになる。

「シェラ姉?」
「あー…何でもないわよ。あんたは今日も無駄に元気ねぇエステル」

窓から差し込む光に反射した金糸の髪が揺れた。
彼が年不相応に大人びた表情をする度に思う。
目立ったところが無く平凡でいて、妙に人を惹きつけるこの子は、どこかヨシュアに似ていると。

物思いにふける時間はない。
エステルが変な顔で覗き込んでくるのを笑って誤魔化し、本題に入った。

「下でアイナから聞いたと思うけど…今日はいつもと全く違うことをやってもらうわ」

三人にチェックシートなるものを渡し、目を通させる。

「いつもと…全然違うこと?」
「そうね。こちらからは大まかな指示しか行わないの。場合によっては結構ハードかもしれないけど、まぁ頑張んなさい」
「ハード?」
「難しいって意味だよ。エステル」
「う。それくらいはわかるわよ」

にっこり笑うヨシュアにエステルが顔をしかめた。

「項目を埋めて、あたしに提出すればOK。今日の研修はそれで終わりよ」

随分とあっさりしている。
ロレント街内ウサギ跳びン10周だのミルヒ街道往復マラソンだのと言われると思っていたレフは、安堵の溜め息が出た。

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