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sora no kiseki

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数回ページをめくった後、小さく溜息をつくのが聞こえた。


「平和ボケしてないで、出て行ってあげたらどうですか」
「平和であるのは良いことだ。リベールの明日を心配してる一人としてはね」


先客、とは。
まあ ついこの前編入してきた澄ました顔の後輩のことなんだけど。

これがなかなか扱いにくい。
お世辞は通じない、冗談も通じない。

「膝、かして」
「お断りします」
「残念」
「そうは見えませんが」

話しかけてもあんまり会話にならないうちにすぐ怒っちゃうし。

ま…そこが可愛いんだけどさ。


「ねえ、ぶっちゃけ君、俺のこと嫌いでしょ」

快晴の空の中で 彼女のジークが宙を旋回する。
風に吹かれて、木の葉が舞う。
革靴に舞い降りた枯れかけの葉を摘みあげ、弄びながら彼女を覗きこめば、ふいっと顔を逸らされてしまった。

意地悪をされたので、此方も「読んでるその本が逆さだ」とは言ってやらない。
でも「君が怒ったって可愛いだけなんだよ」は、怖いから「言えない」。
 
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