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Yu u ka i i chi re n

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「佐助様ー?いないのかしら…困ったわね…あれの加減とどのくらい蒸らすのか分からないわ…」

溜息をついた屋根の上。
見下ろした先に、俺を探すお姉さん。
出て行こうとしたけれど、すぐ近くに悠名が居た。

「…1コ…4羽……10本…!」

般若のような形相で、竹刀を振り回している。
竹刀は旦那から借りたのかな。

構えも結構サマになってる……じゃなくて。

「佐助の死体が21体…
佐助のバカの死体が22体…
佐助の人間以下の死体が23体…
佐助の人でなしの死体が24体…」

聞こえてくる物騒な掛け声に、サーッと血の気が引いた。

うん。無理だ。
俺様 怖すぎて出ていけない。

「あら、姫様。朝から精が出ますね」
「おはよーございます!」
「ところで佐助様を見ませんでした?」
「ああン?佐助…?どっかで死んでると思いますけど」

私のシュミレーションで25体目が今死んだから。
そう付け足した悠名の笑顔が、怖い。

「ええっ?ええと…あの、姫様…死んでるってどういう…?」

彼女は昨夜の宴会の状況を知らないらしい。
今の悠名に、「猿」「佐助」「アーミー」といった言葉が禁句だということを。

「もう、何なの、私に聞かないでよ!その名前聞いただけで虫唾が走る!」
「し、失礼しましたっ………ど…どうなされたのかしら姫様…ああ怖い…あの二人喧嘩でもしたのかしら…」

ぶるぶる震えてすっ飛んで帰ったお姉さんがお労しい。


「……ていうか、誰だっけ?佐助って。あー…知らないし、そんな人いたっけ?」


あああ!とうとう「知らない」って言われた!
記憶から抹消する気だ。
なんか俺の想像通りの展開に…!

ちょ、ま、ホント俺様どーしたらいいわけ!?





* * *





 
「…で?たかがじゃじゃ馬姫一人に嫌われたってだけで俺達のSweet time邪魔しに来たってんだな、いい度胸だクソ猿、お前も掘ってやろうか」
「別にあんたに相談しに来たわけじゃないんだけど。つーか冗談やめてよ気色悪い」

旦那の部屋行ったら案の定ベタベタしていた。…気にせず、正座。
伊達はあからさまに嫌そう(っつか嫌なんだろうけどね)な顔をした。

「フン…だいたいなぁ、幸村に女のこと聞いたってしょうがねえだろうが。ソレお前が一番良く知ってんだろ。コイツがどれだけ奥手か」

まぁ…それは、そうなんだけどさ。

「でも…旦那、悠名と仲良いじゃん」

悠名のことは、旦那のほうが色々知ってると思うし。

「確かに、某は悠名とは甘味仲間で、よく一緒に居るでござる。仲は良いかもしれぬが…やはり女子の考えは難しくてよくわからぬよ。そもそも、佐助はどうして悠名を怒らせたのだ?」
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