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Yu u ka i i chi re n
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「私が勝ったら、幸村は私のお嫁さんだから!」
「悠名…それ逆だから…」
頭を抱えた俺に、果たし状を見つめたまま突っ立っている旦那。
うん、困ってるんだよね。
俺様も今その状態なの。
気持ちすごく良く分かる。
何が何だか、と言った顔のお館様と旦那の顔は、悠名から移動して俺へと集中する。
ああ、視線が痛い…
説明しろ、ということなんでしょうけど。
でもあの、俺様にもちょっとよくわかんないんですよ。
むしろこっちが説明してもらいたいくらいで。
すぱーん!
道場の扉がまた開いた。
「Heyここか?幸村賭けた決闘やってるとこってのは」
ってまたややこしいのが来たし…
「政宗殿!」
眼帯に、黒髪。旦那の表情が一変する。
それにイラっと来た俺様ですけど。
我慢我慢。
「竜の旦那、ちょっと今立て込んでて…客間に案内するからそっちでお話しませんかね」
我慢我慢、我慢がま-
「別に猿に用はねえ。…お、メカ女までいるじゃねえか。ちょうどいい、異文化交流しようぜ」
ぶん殴りてえ、このクソホモ…!
俺様だってアンタに用はありませんよ。
悠名が言い出したアレについて、この男が間に入ってきたら、と思うと肝が冷えるどころか凍っちゃうから言ってるんですよ。
「政宗殿、何用で参られた」
「おお、小耳に挟んだもんでな、真田幸村争奪戦もといデスマッチ」
だからそういう情報どっから仕入れてくるんだよ。
つうか、いつそんな名前がついたんですか。
「ここでやるんだろ?」
「政宗殿ですまっちとは何でござろうか」
「竜の旦那ー、ホント今邪魔なんですけどー」
「Shut up,猿君はあっち行っててくんない?」
だから、絶対話がややこしくなるからアンタがあっち行ってくれって、そういう意味なんだけど、アナタ言葉通じてる!?
嬉しそうにしてる旦那の肩を抱き寄せる伊達の隣で、準備運動をしている悠名。
伊達は悠名も抱き寄せて両手に花(旦那は男だけど)状態。
ああああ何してんだてめ、この、羨ましい、じゃない何軽々しく旦那と悠名にベタベタ触ってんですか。
「誰が相手だろうと俺は負けないぜ、My honey」
「Bad Luck!残念でしたね眼帯ホモ男さん、幸村は私がもらいます」
伊達の腕を押しのけた悠名が、旦那の腕を引っ張って自分の腕を絡ませる。
一瞬旦那がちょっと赤くなった。
可愛い、じゃなくて止めないと大変なことに…!
「何…メカ女お前、小十郎がtypeとか言っといて本当は幸村狙いだったのか。つーかいつから仲良くなってんだ幸村とか呼び捨てしやがって」
「メカ女じゃない。藤堂悠名って名前があります。もっとも、添い遂げる相手として「男」に勝ち目なんかないと思うけど?」
「う…っ痛いところを」
「つうわけで勝負だ!ここを貴様の墓場にしてやるよ…!」
や、もう、やめて。
でも怖くて割り込めない。
どうした俺様、しっかりして俺様!
「言いやがったな…妄想メカ女、いてこましたる!」
「眼帯ホモ男に言われたくないでござるぁ!」
旦那を挟んで二人の目には ばちばちと火花が散る。
「「幸村は渡さない!」」
「あああ予想通りの最悪な展開に…!」
キョトンとしたままの旦那を他所に、ここになんとかデスマッチとかいう物騒な決闘が開幕してしまった。
「わっはっは、ですまっちとやら、実に天晴れ!」
若い奴らはいいなぁみたいな暢気なノリで笑っているお館様は頼りにならないし!
「マジ笑ってないで止めてよ!だいたいアンタ、デスマッチの意味わかってんですかオッサン!!」
ああもう、俺様どうしたらいいんですか。
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