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Yu u ka i i chi re n
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「Heyお前か良いメカ持ってるっつー女は。……Sorry、着替え中だったか」
早朝。
「政宗殿そっちは、ッ!」
雀の可愛らしい鳴き声と、
「おうGood morning幸村。下ろした髪がsexyだぜ」
「は…はははは破廉恥なぁッ」
私の叫び声が
「二人共出てって!!!!」
武田邸一室に響き渡っていた…
* * *はぁ。朝から疲れた…
何に悩んでたんだかうっかり忘れちゃうとこだったよ。
「悠名、よく眠れ…ておらぬようだな。佐助にいじめられたか」
「悠名殿、無理をしてはいけませんぞ」
「俺様見張ってただけだよ何もしてない」
いいえ佐助っつーより朝から人(仮にも女)の部屋入ってきた眼帯男がいたからです信玄様。
「私は大丈夫です。気にしないでください」
「ウチに遊び来ねえか?」とか「もっと南蛮の話を聞かせろ」とか言って迫ってくる伊達さんが従者の小十郎さんに耳を掴まれてお帰りになったのはそれから間もなくのこと。
いらないと言っているのに私に堅苦しい謝罪文句を丁寧に述べ、颯爽と奥州へ帰っていかれた。
嵐のようにやってきて去っていった二人を見送り、朝ご飯。
「あの、眼帯おと…ごほん、伊達さんはよく此方にいらっしゃるんですか?」
「甲斐と奥州は同盟国、それに政宗殿とは旧知の仲故…」
「旦那。箸が上下逆だよ」
恥ずかしいのか目をそらす幸村さんに苦笑。
傍に控える佐助に指摘され、さらに紅くなる。
それではあからさまに恋仲と言っているようなものだ。
「お二人はいつから付き合ってるんですか」
「つき、…なんと?」
「じゃあ 幸村さんはいつから伊達さんのこと好きなの?かなと」
ぶーッ
幸村さんの口から佐助へ、お茶が噴射される。
労せずともお盆でガードした忍びは布巾を主に渡し、涼しい顔で座り直している。すごい。
「悠名殿、からかわないでくだされ」
昨夜ろくに食事をとらなかった私のためにお粥が用意されていたので、流石に食べなくては失礼と思い匙を動かした。
案外、すんなり喉を通る。
「だって伊達さん、So cuteだの明日もお前にcrazyだの言ってるし」
「おお、悠名は、奥州の若造の言う言葉を理解できるのか」
「センスを疑いますけどね…」
「やはりそなたは学がある。器量も申し分なし…幸村の室にどうだ?」
「お、お館様っ」
「室?ってなんですか、佐助さん」
「決めた相手と、一生を添い遂げる女の人のことだね」
「?何それ?薬キメたゾルとゲル?私そういうのあんまり詳しくないんだけど…」
「いや俺様もそんな難しい話してないんだけど…」
珍妙な登場と退場をしてくれた伊達さんのおかげかもしれない。
半裸状態を幸村さんにまで見られたのは恥ずかしかったけれど。
今日、まともに食事ができて良かった。
そのとき 佐助さんが、神妙な面もちで聞いていたことを知らずに…
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