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colorfulxcaracal
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「何…?ウソップ、チョッパー。なんか言った?」
「え、何も言ってねーよー?
「ブゥッ」あ。今屁をこいた」
「ウソップ!臭ぇ!」
「ウソップ〜なんちって。あははは」
「あははははは!」
バカ騒ぎしている外の二人に、ナミはいよいよ不安になってバスタブから立ち上がる。
誰もいないはずなのに、確かに「何か」の気配はある。
一体、何が起きているのか。
「キシャーッ!フーッ」
ゼゼが何かに向かって威嚇していた。
何か見えているのか、だがナミには何も見えない。
ぴちゃ。突然、誰かに手首を掴まれた。
はっとして自分の手を凝視するが、掴む「誰か」の姿は見えない。
「ちょっ…この…!………あうっ!」
引きずりだされ、壁に背に押さえつけられる。
「なにこれ…誰もいないのに!」
「船にいた女と子供より弱くて好みだ…」
「にゃああああ!」
誰かいる。
「ウソップ、チョッパ-」
「貴様…オイラの花嫁になれ」
外の二人を呼ぼうとしたが途中で口を塞がれる。
確信を持ったはいいが、物凄い力で腕も口も押さえつけられ身動きがとれない。
「おいナミィ!どうかしたのか!」
「ウソップの屁がこっちまで臭ったか?」
様子のおかしいナミに違和感を持った二人が風呂場へ駆け込んでくる。
「んなっ」
次の瞬間、壁に寄り掛かるナミの全身が視界に飛び込んできて、ウソップの思考は崩壊寸前まで追い込まれた。
「ああああああ!!ありがとうございますっ」
「お礼言っちゃったよ」
状況が理解できない二人に、こちらは伝える術を持たない。
(バカ…!助けて……)
「ぐるるる…邪魔をするな…!」
見えない敵がまた低く唸った。
こうなったら自分で何とかするしかない。
ナミは相手の急所目がけて勢いよく足を繰り出した。
「っぐはぁ!」
運よく命中したらしい。
拘束されていた手が放され、ナミは大きく咳き込む。
「ウソップ!チョッパー!助けて!此処に誰かいる!」
ナミの叫び声に、獣化したチョッパーが辺りを嗅ぐと確かに別の人間のにおいが感じられた。
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