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colorfulxcaracal

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「っ…」
「よいしょ」

俺は正論を言っただけなのに。
やましい気持ちで風呂を覗こうとしてやったわけではなかった。決して。
チョッパーは非常な扱いに半べそをかくウソップの額を手当てしてやる。

「せっかく泊めてくれるって言ってんだぞ?夜中外に出たらどうなるかくらいお前わかるだろー。俺たちは、兎に角もうここから動かねえことだ。ルフィ達が必ず助けに来てくれる。いいなっ」
「俺もそうだぞ!もう二度と外へは出たくねえ。森も墓もイヤだ!」

「中も外も同じよ」

ちゃぷん。ゼゼと湯船に浸かりながら、ナミが答えた。
ゼゼの前足をふにふにいじりながら頼りになるんだかならないんだか判らない男二人に説明してやる。

「屋敷の中をちゃんと見渡した?」
「ひぃ!」

何を言うんだ、ウソップとチョッパーが大袈裟にびくついた。

「ま…まさか…」
「そ。あたしの勘が正しければ、廊下も部屋も気配でいっぱい。この屋敷の中は、すでにゾンビだらけよ」
「ひー!」
「ど、どこにいたんだよ!?」

漸く話を聞く気になったか。
ナミは水で濡れた髭をぷるぷるやっているゼゼを撫でる。

「そうなると一番怪しいのはホグバック本人。彼は嘘をついてる。あの男とゾンビたちにつながりがなかったらゾンビだらけのこの屋敷や島で暮らしていけるわけがない」

全て信じるわけではないが、ナミの言葉は的を得ていると思うし、確かにこの屋敷は不気味だ。
外であんなに恐ろしいことがあったのだから、次に何が起きても不思議ではないけれど。
屋敷が安全だと信じたい気持ちの方が大きかった。

「どうするチョッパー、この話本当なら…」

チョッパーに返す言葉など見つかるはずもなく。
ぐっと口を噤む。

(そんな。ドクトル・ホグバックがそんなことをするはずがねえ。)

「兎に角今は、気づかないふりをして夜になったらここから逃げましょ」
「ぐるるるる…なかなか賢い女だ…」

不意に、誰かの声が風呂場に響き渡った。

「っ…!?」
「フーッ」

はっとして辺りを見回すが、誰もいない。
ゼゼが風呂場から飛び出して毛を逆立てた。


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