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colorfulxcaracal
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「この野郎ー!」
この非常時にのんびり漫才をやっている暇はなかった。
ウソップの言葉を聞かなかったことにしたチョッパーが包帯だらけのゾンビに攻撃をしかける。
渾身の力を振るい殴りつけると、ゾンビの頭が吹き飛んだ。
「ええええ!?」
ごろり、トントン…
地面に落ちた頭が後ろへ転がっていく。
「あー!ごめんなさいー!」
「よっと、はい落ちたぞ」
「おお、すまねえ」
が、謝るのも束の間、頭は取り外し可能だったらしい。
「ええええ!?」
目を飛び出させて驚くチョッパー。
死んでいるからゾンビなのであって、頭が取れようとこれ以上死ぬことは勿論ないのだろう。
その事実を改めて理解させられたが、そうやすやすとこんな非現実を受け入れられるものではないのが人間(トナカイも)だ。
「怖いよー!」
「にゃあー!」
ゼゼを首に巻き付け、手当たり次第にゾンビを殴りつける。
半泣き…いや、すでに泣いている。
「俺だって怖いわ!いいから何も考えんな、もたもたしてっと殺されるぞ!」
「やだー死にたくないよー おれこんなとこいたくない…やっぱりおれが海賊なんて、まだ早かったんだ…」
「にゃあ…」
「いいんだ。俺、弱いしっ、海軍からは一味の中でペット扱いだしっ、手配書もねえしっ」
敵を前にぐずり始めたチョッパーをゼゼが慰めるが今の彼にとっては涙を助長させる結果にしかならなかった。
「ドクター…ドクトリーヌ…!おれ、おうちかえりたい」
「今更ホームシックになんぞなっとる場合か!子供かっ」
「だって、おれ、最年少…ぐすっ」
「何だ?」「大男が泣き出したぞ」「なんか可哀想だから泣きやむまで待っててやろうか」「そうだな」「見た目より幼いみたいだしな」
そしてゾンビにまで気を使われていた…
「なんだか知らねえがチャンスだ、チョッパー」
「お、おうっ」
それに気づいたウソップが会話の途中で不意を突き、数体を撃退。
チョッパーも加勢し、もう1体の膝をつかせた。
汚いやり方だが、油断していたのが悪い。
「ていうか、見た目でならロゼのほうが下だろ」
「おい…それ本人に言うなよー。引っ掻かれるぞウソップ」
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