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colorfulxcaracal

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「いやああああ!!」
「ゾンビだぁあああ!」
「にやああああああ!!」
「あああああ!!」

時遡ること…何時間かは定かではないが。
一行は馬車に乗り、酒を振る舞われていた。
不気味な森を徒歩で抜けなければならなくて済んだのはいいが、安心できる気分でもない。
親切にも馬車を走らせてくれているのはヒルドン。
森からも見える大きな屋敷まで乗せてくれるという。
屋敷の主人の名は、ドクトル・ホグバック。
外科医として有名な医者らしいが、チョッパーしか知らない人物だ。

「サイン頼んでもいいのかなー」
「ああ、それくらいなら頼んでも大丈夫でし」

嬉しそうにヒルドンと会話するチョッパーを余所に、何気なく外を窺ったナミだったが、その表情は一変する。
人間のような顔をした動物たちや木々。
馬車の外はヒルドンが最初に言っていたとおり恐ろしい光景が広がっていたのだった。

恐れをなしたナミとウソップが一旦馬車を止めるよう頼むと、ヒルドンは馬車を止めさせ、使用人に話をしに行くと言って外へ出た。
屋敷に行けない=ホグバックに会えない、という状況に泣きべそをかくチョッパーを宥めていた二人と一匹だったが、それよりもヒルドンが馬車を出たきり戻らないことに不安を募らせていく。

「あうー」
「にゃうー」

すっかりしょげて椅子に寝転がったチョッパー同様、同じような態勢でゼゼも溜息をつく。
完全装備のウソップから借りたお祓いグッズの十字架が、チョッパーの首元で光る。
あまり意味はないようなのだが…本人の気休めになっているらしいからあえてナミは突っ込まない。

「ごめんねチョッパー。せっかくのチャンスを」
「しょうがねえよ。こういうときルフィみたいに一人で行動できないおれが未熟なんだ」
「ゼゼまでしょげてるわ」
「ロゼともはぐれちまったし、やっぱ俺たちだけじゃ不安なんだろ」
「にゃあ…」

10分が経った。
ヒルドンが戻ってくる気配はない。

「いつまで待たせる気かしら」
「あいつ全然戻ってこないな」

ナミの言葉に、チョッパーが続く。

「ん…?」

痺れを切らしウソップが馬車のカーテンを開けて外を覗いてみた。

「変だな…逆戻りするだ…け…」
「にゃあ?」
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