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DEATH≫DOG,GOD≪DEATH

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「そう…どんな一護でも好きなの?」
「えっ、う、うん、趣味とか休日何してるのかとか…知りたいな」

体中の体温がどんどん下がっていく気がした。
一護を好きだと言うこの子が、一気に嫌いになる。
別の人を好きなら応援するのに、どうして一護なんだ。

「そう……じゃあ言うけど」
「教えてくれるの!?」

俺から一護をとらないでよ。
お願いだからさ。
 
「アイツ、ああ見えて かなりのアニメオタクで暇さえあれば部屋に籠もってアニメのDVD見ながら忙しそうに「何か」してて、休日にはメイド喫茶で萌え萌えキュンとかやってるよ、もちろん部屋の中はフィギュアだらけだしうっかり触るようなものなら塗料の質が落ちるから触るな塵が!とか言うよ。君はオタクには見えないしアニメにも秋葉にも興味がないなら付き合うのは厳しいと思うよ」

その間、俺は息継ぎもしなかった。

言い終わった途端、漫画にあるみたいに びゅう、と 冷たい北風が吹いてくる。

「そ、そうなんだ……教えてくれてありがとう…」

ふらふらときびすを返すその子は、黒崎君が「そういう人」だったなんて……なんてブツブツ呟いている。
嘘なのに。信じちゃって、可哀想。


「瞬殺だったな…今回は」

彼女が扉の奥へ消えて、下の階へと続く階段を降りる音がする。

「かわいそうに」

あんな嘘、本気にするってことは 少なからず一護もそういう風に見えるってことなのかな。

「アニオタな一護も……俺は別にかまわないけどね」


そう小さく呟いて、俺は心の底から笑い出す。

「毎日刀振り回してホロウを倒して…本当に、自分でアニメの主人公みたいなことやってるしね」

退屈しない嘘のような毎日は 隣に一護がいるから。

俺は一護のように斬魄刀は持っていないし、闘う力などないけれど。
ちゃんといつか、一護に並ぶんだ。
置いていかれないように闘うんだ。

君の隣にいたい。
それだけは嘘にならないように。



「…あ、HR始まっちゃう」



予鈴の音に、少し急ぎ足で扉へ向かう。
一足先に教室へ戻ったあの子はどうしているだろう。
 
まだ落ち込んでいるかな。
それとも友達に慰めてもらっているのかな。

胸を刺す、鈍い痛みはあの子のものじゃない。
俺だってこんなに痛いんだ。

塗り固めた嘘がいつか俺を殺すまで、俺はまだ、諦めない。

だけど。
どうせ殺されるなら、一護の手で殺されたいな。



「こら黒崎弟!HRはとっくに始まっているぞ。どこで何してた!?」
「はい先生 兄の個人情報を格安で売ってました!」

「は!?ちょ、柘榴お前何勝手に…っ」

「お前ら煩い。兄弟喧嘩は余所でやれよな。ホレ弟、さっさと席に着けー」



それくらいは、
赦されるんじゃないかなぁ。






***
弟にブラック降臨。
でも織姫ちゃんにはわきまえているんです。仲間だから。
(↑犬のサガってやつです)
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