TOP
DEATH≫DOG,GOD≪DEATH

page list
_______1

うそいつわり。
恋愛もそうだけど商売も同じ。

駆け引きには 嘘 も必要。
犯罪にならない程度に、だけど。



嘘を言うのは悪いことじゃない。
例えば 初対面の太った人に「私デブかしら」と聞かれて「そうだねブタにしかみえないね」などと言う人間は、そういないと思うし。
そんなとき、英国紳士なら「いいえあなたは魅力的だ。誰よりも健康的で美しい」とか言うんだろうか。

俺なら言わない。
かと言って先に例に挙げた「ブタ〜」を取りはしないけれど。
それでも当たり障りないことをオブラートに包んでその場を凌ぐのだろう。
これはわるいことじゃない。
だってそうでしょう。
人は 嘘をつくことを覚えてしまったのだから。




「今日ね、家庭科の授業でクッキー作るんだ。柘榴君は甘いもの好き?」
「うん。好きだよ」

「こういうこと」に、屋上を選ぶのは何故か。
それは普通なら滅多に立ち寄らない場所だからだ。
ベタと言えばそうだが、強ち間違いでもない。
現に今ここにいるのは二人だけ。

「うちは下の妹がよく菓子作りするし。一護もチョコとか好きだし」
「そ、そうなんだ。黒崎君…チョコが好きなんだ」

…あのね、
一応俺も「黒崎君」なんだけどね。





呼び出しておいてなかなか本題に入ろうとしないその子に、俺もそろそろ疲れてきていた。
十中八九、これは俺に直接用があるわけではなく「一護に」、なんだろう。
一護の話題を出せば微かに頬を染めて、俯いて笑う、「可愛い反応」。
今のは決定的だ。
羨ましいね一護の奴。

弟に兄の情報を聞き出して告白の準備か。
女の子はズルイ。
アイツに一番近いのは俺なのに。
女の子というだけで、他人というだけで。
家族であり弟であり、何よりも男の俺とは違うのだ。
 
例えば今この邪魔に成功したとして、一護がこの子を好きにならない保証はない。
ふ、と自嘲の笑みが零れた。
何だ。後悔しているのか…今までのことも。

「あっもうこんな時間…長々と話し込んでごめんね」

時計を見て彼女も漸く気づいたらしい。
本当に やれやれだ。
俺は相槌をうっていて、話していたのは君だけだろう。

「ううん、気にしてないよ。いろいろ面白い話聞けたしね」

心の中とは逆に一応そう言ってあげる。
女の子は傷つきやすいからね。

「今日呼んだのはね、柘榴君に一護君のこと教えてもらいたくて…あの、もうわかってると思うけど、私あなたのお兄さんが好きなの」

…来た。ようやく本題に入った。
朝のHRまであと3分。…ギリギリかな。
 
4/8

  
しおり

TOP

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -