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「あのね」

くすくす笑いながら遊子が言う。
背中を軽く叩いてやる俺の手が心地いいのか、閉じた目が可愛らしい。
まぁ、大事な妹だもんな、兄バカとも思うが。

「いっつもお兄ちゃん柘榴君と居るから…今日は、お兄ちゃん独り占め…」
「ったく…甘えん坊」
「ふふ…」

もうすぐ寝付くかな。
 
「やれやれ、」と溜息をついたその時だった。

「明日は、柘榴君を独り占めするんだ…」

…はい?

「おい、ユズ、ちょっと待て、まだ寝るな、起きろ、おいってば!」

すっかり寝入ってしまった妹に、俺の言葉が届くことは無い。

しかし…今、妹は 何と言った?
 

明日は、 柘榴君を
独り占めするんだ…


確かに、そう言った。

待て。
待て待て。
待ちなさい!

お兄ちゃんそれだけは許さないからな。

男勝りな夏梨は大丈夫だろう。
いや…でも。
だけど、何かこう、ふとした拍子にムラッとくるかもしれないし。
 
柘榴の奴、今の遊子みたいに可愛いのが布団に据え膳状態で入ってきたら、何するかわかったものじゃない。

何しろ、あいつは「大型犬」なのだから。


「っ…夏梨!今行くからな!」

まさかとは思うけど、
こんな理由で弟を殴らなきゃいけない日がくるとは夢にも思わなかったけれど…

もしも、何かあったら、
柘榴の奴、ブッ殺す!!!!





――どたどたどたたたたたた!

ガラッ

「夏梨ッ!」
「……すかー」
「あ、一護!」

扉を開けると…そこは。
想像通りの、光景が広がっていた。
 
ベッドを占領しているヘソ出して寝こける夏梨。
床で転がってPSPをいじる柘榴。

俺を見てにっこり笑う顔は満面の笑顔…というより困った顔だ。
この状況を説明して、といったところだろうか。

とりあえず妹に掛け布団かけてやるとか、せめてそれくらいしてやれよ…弟よ。

まぁ、でも。間違いがあっちゃいけないから。
兄として妹の心配だけじゃなく弟の心配も少しだけしてたんだけど。

本当にいらぬ心配だったようだ。


…いや、少しでも心配したということは、柘榴の日頃の俺への行いというかなんというか…
俺(仮にも男)にしか興味無いっていうのにも、頭が痛いんだけどな。
まぁ何にしても良かったよ…何もなくて。
 
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