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空座町第一高校 午前十時四十三分


「はーっ」

何をする予定もない休み時間。
いつも通りの教室で、窓に寄りかかり ぼへーと呆けるのは井上織姫。

「こらァ口開いてるぞ!いい若いモンがまた昼間っからボーッとして!」
「…たつきちゃん」

そこへ、友人の有沢竜貴が声をかけてくる。
はっとして手に持っていた本で口元を隠す織姫。

「遅いね、一護」
「え?」
「一護のこと考えてたんでしょ?」
「ち、ちがうよ!」
「…じゃあ柘榴だ」
「えー、違うよぉ」

一護かと聞いたときのほうが声を荒げていた織姫に少々戸惑う竜貴。
実際問題、あのガサツな男のどこがいいのだろう。
まだ弟の柘榴のほうが分かる。
しかしあの男の脳内は全て一護で出来ていると言っても過言ではないため、恋愛対象から外れるのは仕方ないことかもしれないが。
(それでも男女問わず人気があるんだよなー柘榴の奴。…変態でブラコンだけど)

「今日休みかもしんないよ。一護」
「小島くん」

二人の会話を遮ったのは小島水色。
いろいろ伝説はあるがここではとりあえず年上キラーだとだけ紹介しておく。

「どういうこと?」
「今朝寄ったんだけど、家にでっかい穴が空いててさ。なんか夜中にトラックに突っ込まれたって言ってた。オジサンが」

朝から随分非現実的な話だ。
それを聞いた瞬間、竜貴の表情が一変した。

「トラックぅ!?じゃあ何あいつらケガしたの?それとも死ん…」

ボスッ、

「でねえよ」
「簡単に殺さないでほしーなぁ」

縁起でもないことを言いかける竜貴の後頭部を鞄で軽く殴ったのは、ついさっきまで話題に上っていた一護、そして柘榴。
 
「ウチの連中は全員無キズだ。残念だったな」
「一護、心配してくれたんだよ、たつきなりに」
「はぁ?そうなのか」
「いや別にしてねえよ…妙なフォロー入れんな弟」

何となく柘榴とはウマが合わないらしい。
竜貴が怪訝そうに柘榴を睨んだ。
水色は笑ってそれを見ている。

「黒崎君!」

三人を余所に、織姫が一護に声をかけた。

「おおおおおはよーっ」
「お?おうっ、今日も幸せそうだな井上」

クハーと妙な溜息をつきながら挨拶してくる織姫に、一護は変な汗をかきながら挨拶を返す。

おはよう、とは返してはみたが。
時刻は既に10時を回っている。
水色に聞いたところ次の3限の授業は現国のようだ。
あまり細かい教師でないのが幸いした。
(恐らく)ルキアがでっちあげたであろう黒崎家トラック衝突事件のことを根掘り葉掘り聞かれても困る。
(真実を述べたところでバカにされるか精神鑑定されるかのどちらかだろうが)
 
「貴様…あなたが黒崎君?」

自分の席に着こうとして、一護と柘榴が椅子を後ろに引いたそのときだった。
一護の隣に座っている女子が声をかけてくる。
なんだ、と二人が同時に声のしたほうを向くが…その顔を見た瞬間、あまりの衝撃に、二人は文字通り目玉が飛び出るかと思った。

「隣の席になりました。朽木と申します」

キラッ☆と某電波アニメのラ●カちゃんのような素敵笑顔を向けてきたその女生徒に、二人は見覚えがあった。
いや女生徒では語弊がある。
彼女は死神だ。
それもかなりお年を召している。
高校生なんてものじゃない。
家族の命がかかっていたこともあるので不可抗力と言わざるを得ないが、昨夜二人を死神にした、張本人でもある。
そうせざるを得なかったのには一護に秘められた驚異的な霊力のせいでルキアが普段通りに戦えなかったこともあるのだが、二人はまだそれを知ることはない。

昨日のホロウにめちゃくちゃにされた家は兎も角、家族の記憶がいじられていることで既に彼女の仕事は終わったと二人は思っていたのだが…
 
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