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DEATH≫DOG,GOD≪DEATH

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何故自分は背中を蹴られたのだろうか、何故この人間は自分が見えて、なおかつ蹴り飛ばせるのだろう。
己の中にあった人間の定義からするとそれは絶対にないことだ。

「人をビビらせた挙句無視かよ!てめーは誰だって聞いてんだよ!」

女――朽木ルキアが振り返った先には、二人の青年が立っていた。
片方は橙色の髪を、もう片方は深い群青の髪をしている。

「き、貴様…私の姿が見えるのか…ていうか今蹴り…」

自分を蹴った相手――橙色の髪の方を凝視しながら問いかけた。

「ああ?何ワケのわかんねえこと言ってやがんだ。見えるに決まって――」
「貴様、先程町に居った者だな」
「今頃気づいたのか」
「妙だな…普通私の姿など見ることなど出来ぬはずなのに…」

体を起こして立ち上がり、橙の青年の顔をしげしげと見つめる。
顎を持ち上げて右、左と顔を動かすが、特に変わった様子は…

「あのさ、人の兄貴にベタベタ触んないでくれる?」

突然、橙の青年の横に立った群青の青年が間に入ってきた。
群青は、橙の頬に触れていたルキアの手を軽く掴み、やんわり解く。

「お前も見えるのか、私が」
「うん…まぁ、俺も幽霊みたいなもんだしね」

群青は橙の肩を抱くようにしてそう返してきた。
その言葉に目を見開く。

「どういうことだ?」
「この体は借りモンなの。あなた明らかに人間じゃないし、そーゆうの詳しい人っぽいから話すけど」

ここに来ていくらも立たぬうちに驚かされてばかりだ。
これが普通の人間だというのか。絶対におかしい。
 
「確かに、不思議な気配がするとは思ったが…まさかお前か?この魄動は…いや、でも…」
「はくどー?どうでもいいけど、お宅どちら様?不法侵入者扱いされたくなかったら、お名前と、おところを教えてくれませんか?
せっかく、いいとこだったのにぶち壊しやがって。返答によったら タダじゃおかねえぞ。俺は女でも容赦しねえ」
「いいとこ?ああ、確かに貴様らはまぐわっていたな」
「ギャァーまぐわう言うな!」
「まあ気にするな、偏見云々の前に、別に興味ない」
「俺が気にするんだよ!」

橙のほうが騒いでいるが、こういうのは放置しておくに限る。
仕方ない、とルキアは思い直し、小さくため息をついた。

「では教えてやろう」

まさか己の存在を人間に語る日が来るとは。

「私は、――死神だ」

今の今まで、思いもしなかったのだから。
 
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