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Reborn!
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太陽が登りきって暫く。
本当ならとっくに移動していなければならない時間だ。
会合の時間が差し迫っている。

「っにやってんだ、あの人は…」

苛々と腕の時計に目をやる同僚に、ロマーリオは「本当にな」と同じ境遇を嘆いた。

主の部屋の前には他に二人配置させている。
わざわざ自分たちまで出向くのもどうかと思い、正面玄関前で待機しているのだが。
相手は一向に現れない。
このままでは先方が痺れを切らしてこの件が白紙に、なんて話が出ないとも限らない。
ていうかとりあえず、めんどい。

「ロマーリオ」

不意に名を呼ばれた。
カツカツと革靴を踏み鳴らす音に顔を上げれば、今日の護衛と運転手を兼ねた青年が此方へ向かってくる。

コンゴウ・ミドリ。
数年前に殉職した同胞の息子らしい。
正式なファミリーの一員ではないが、諜報員として協力を得ている。
まだ出入りするようになってから日は浅いが、主からの信頼は厚く、仕事振りから見ても信用に足る人物だ。

ふと気づけば伸びっぱなしの襟足に癖がついていた。
また主の悪戯だろうか。
若干機嫌が悪ように見えるのは気のせいでもなさそうだ。
元々、彼は愛想のいいほうではないが。

「ボスはまだ?」

彼は手袋を付け替えながら口を開いた。
チョコレート色の瞳が眩しさに耐えきれず細められている。

「ああ」
「またお前絡みなんじゃないのか」

低く唸ったロマーリオの隣で、もう一人が疑るような目でニヤリと笑う。
ミドリの眉間に皺が寄った。

「ボス相当落ち込んでるぜ」

あからさまな態度が嗜虐を誘ったのか、男は更にもう一言付け加える。

「何で俺に言うんだ」
「ミドリ、首。見えてる」
「え?」

男の、首筋を人差し指で軽く突つく仕草に、ミドリは一瞬キョトンと目を丸くする。

「!っあの…バカ…つけんなっつったのに…」

言葉の意味を理解した後は、その顔は見る間に熱を帯びていった。



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