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く
外は生憎の大雨。
もう寝るだけだから、別に関係ないけどね。
明日の朝、新聞を取りに行くまでに止んでいれば。
ピカ、数回光った。
とどろく雷鳴に、近所の犬が騒いでいる。
うるさいな。
「ヒバリ!!!」
そこへ、またうるさいのがやってきた。
勢いよく扉が開いて、飛び込んできたのは、ミドリ。
枕を抱えて息を切らしている。
僕が起き上がると、いきなり胸にダイブしてきた。
「何、雷が怖いって?」
「うん…」
「何それ、くだらない」
確かミドリは隣の部屋で寝ていたはずだけど。
ていうか夜這いなんて初めてじゃない?
それならそれで大歓迎、なんてニヤついて緩んだ頬を押し戻して、冷たい体を抱きしめる。
雷が怖いなんて、男らしくない。
「だって落ちるんだぞ、光るんだぞ!?」
お前は怖くないんだろうけど俺は怖いんだよ!
人のベッドに潜り込んで、ぶるぶる震える体に触れる。
普段なら寄るな触るなと騒ぐくせに、こういうときは布団にまで潜り込んでくるんだから。
そっちほうが恐ろしいよ。僕が相手じゃなかったら襲われてるよ。
って…言ってもわからないんだろうけど。
そもそも落ちる落ちるって、本当に落ちたところを見たわけでもないのに、どうしてそこまで怖がれるんだか。
理解できないよ。
「ほら、手でも握っててあげるから」
所詮君の眠れない理由なんて、こんなもの。
なんだか力が抜けてくるよ。
ばかばかしい。
「早く寝なよ」
僕は、君が怖がるものを怖いとは思わないけど。
「僕まで寝不足になるじゃないか」
君が、こんなものでどうにかなることのほうが、…何考えてるんだろ。
「バカバカしい…」
早く寝なよ。
もう一度囁いて、そのやわらかい髪に唇を押し付けた。
**
11'05/12
雷よりヒバリのほうが怖いと思う(…)
12/20
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