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い
静まり返った教室は、まるで知らない場所みたいだ。
後ろ手で扉を閉め、カチリと鳴った音に振り返る。
鍵まで閉める意図が読めない。
問う前に伸ばされた腕から後ずさった。
…何を。
羽織っただけの上着が床に落ちた。
「な…に、ヒバリ」
何で鍵なんかかけてんの。
若干声が震えた。
それでも変わらない無表情。
一瞬でも気を抜けばマズい気がした。
瞬きすら、できない。
「ミドリ」
「ひば、」
壁を背に、もう逃げられないところまで追い詰められる。
額から耳へ、冷や汗が伝った。
「君がそうやって何でもないフリし続けるから、かみ殺したくなるんだよ」
溜め息の後、彼は微かに唇を緩ませた。
硬直する体が優しく抱き締められる。
「な…何が気に食わないっていうんだ」
「随分強気だね。ミドリのくせに」
耳元で囁く。
耳朶を軽くはまれて、ビクリと肩が揺れた。
「俺っ…忘れ物取りに来ただけなんだけど」
触れられた場所から熱を持つ。
徐々に広がるそれに身震いした。
押し返そうとしてもうまく力が入らない。
「生意気」
「っ…」
甘噛みされる唇が震える。
早く、早く、逃げなくちゃ。
コイツから逃げなくちゃ。
警報のように心臓の音が鳴り響く。
「少しは意識してみなよ」
「う……」
もうしてるっつうの!
「本当に、君は可愛いね」
その声が耳を犯して、どうにかなりそうだった。
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05/21 21:35
教室で鍵かけるくらいなら応接室で襲えばいいのに。
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