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O t h e r
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kakashi+
本気じゃない。
抱きしめる腕がこんなに強いのに、そんなことを言われて笑いが込み上げた。
俺なんか眼中にないみたいな涼しい顔して、なんなのそれ。
アンタが持ってるその怪しい本、さかさまだよ。
なんて言ったらどんな顔をしてくれるんだろうか。
「先生。この腕は何ですか?」
こんな可愛いオッサン、見たことがないよ。
木陰の下で甘えるように後ろから抱きしめてくる腕。
顔中、彼のにおいでいっぱい。
本当は正面から抱きしめてほしいんだけど。
っていうか俺が、抱きしめたいんだけど。
「ネコ君がさー…サスケとは仲良くしてくんないしナルトは泣かすし…先生を困らせてばっかりだから、それについてのお仕置きの手」
「そのセリフ、ケツ撫でまわしながら言うか」
別の意味に聞こえなくもない。
頭を捻って見た さかさまの本の表紙には、イチャイチャキングダムと書かれていた。
アホ臭すぎるネーミングに眉をひそめる。
「それ、面白いの」
「…ああ」
生返事。人の話聞いてんのか。
「じゃあ俺にも見して」
「ダメ」
「なんで」
「教育上よろしくないから」
冗談なのに、本気で嫌そうな顔をされて少しむっとする。
「説得力ないね。不良教師」
「不良で結構。ほら…おとなしくしてろ。お仕置きなんだからねコレ」
鼻から顎まで覆い隠すマスクが邪魔だ。
マスク越しにしたら埃っぽくて、二度目はしないと心に誓った。
それとも彼のほうが焦れてその障害を剥ぎ取るまで待つことにした、と言ったほうがいいだろうか。
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