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Fee des neiges

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子守以外での店の手伝いは久々だった。
どが着くほどの快晴の空の下、今日のマグノリアはいつも通りの活気にあふれている。

お天気お姉さんからの情報によれば、今日は気温・紫外線共に上昇傾向らしい。
シュエとジュエの店もその影響あってか客入りが良かった。

そこへ男達が数人、店に入ってきた。
春にしては夏さながらの気温に白旗を上げたのだろう。
彼らは皆ギルドのメンバーで、中の一人はこの店の常連の男だ。
週2程の感覚で来てコーヒー豆を買っていってくれる。いい客だ。

「いらっしゃい」
「ようジュエ。アイスコーヒー4つと、後帰りに豆くれ。いつものやつ」
「OK」

声をかけたジュエに軽く手を振り、彼らは荷物を肩から下ろす。
荷物、と言っても財布のみだが。

「よ。今日は顔色いいな、シュエ」

いつもの場所(カウンター席だが)につき、回転椅子をキイキイ鳴らしながら、常連客の一人が笑いかける。
もう一人はシュエが出した水を黙ってあおった。
外は相当暑かったのだろう。他の二人がシャツの襟もとを引っ張り、仰いでいる。
店内の空調はそんなに効かせてはいないが、それでも外に比べたらマシらしい。

「あのなぁ、いつも病人みたいな言い方しないでくんない?」
「あはは、悪い悪い。いやーお前蒼白だからさぁ」
「蒼白言うな」

もう一人がグラスを差し出しながら笑う。
シュエは変な顔で受け取り、水を注いでやった。

「でも人気あんだろ?白雪王子。ジュエに似なくてよかったなぁ」
「その変な名前やめろ…」
「母親譲りなんだよ。シュエの色の白さは」

嫌なあだ名で呼ばれ、あからさまに嫌な顔をするシュエを宥めるようにジュエが割って入った。
シュエはギルドの依頼で芝居をやってからついてしまったそのあだ名を殊の外嫌っているのだ。

「本当、女だったらなぁ、うちの嫁に来てほしいぜ」
「冗談。俺は好きに生きるんだ」
「そうかい」

出されたアイスコーヒーを一飲みした一人が、酔ったような顔でほざいているのを鼻であしらって、豆の補充に倉庫へ下りていった。

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