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Fee des neiges
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「妖精の尻尾・豪華客船わいわい計画」
二泊三日、遠征旅行決行!
自由参加・旅費は各自用意すること
予算:3万J(たぶん)
※注意※
ミラジェーンの撮影時は邪魔しないこと
ミラジェーンのスキャンダルをでっちあげないこと
…etc.
雨天決行、遅刻厳禁。
不参加者は進んでギルドの掃除を行うこと。
最近酒やら残飯やらのシミに困っています。
「な…なにこれ」
夕方6時半。
店を手伝っていたシュエの元へミラジェーンから連絡(というか恐喝)があり言われた通りにギルドの戸を開けば、大きなボードに何やら書かれていた。
ギルド内で企画があるらしいが、まだ何も聞かされていない。
皆が集まったところで発案者の説明を行うというのだろう。
「ようシュエ。お前も呼び出されたんだな」
声をかけてきたのはグレイ。相変わらず脱ぎ癖は治らないらしい。
上半身が裸だ。パンツではないだけ幾分ましだが。
「ミラが来なきゃギルドから追放だって脅してきたんだよ…」
「こえーこえー」
笑いながら、無意識に脱ぎだすグレイ。
前言撤回、「まし」ではなくなった友人にシュエは半歩退いた。
「ん?どうしたシュエ。俺がイケメン過ぎて思考停止でもした?」
「…」
めでたい脳みそでそこまでナルシストになれるならこの際ロキとチームでも組めばいいと思う。
シュエは無言で脱ぎ捨てられた衣服を指差した。
「ぎゃっまたやっちまった!」
「露出狂も大概にしてくれよもうホント」
「すみません…」
「ただいまーっ…あれ?何この大所帯」
「うお、なんだ、みんないるし」
「そういえば早く帰って来いって急かされてたもんね、みんなに大事な話があるんだよきっと」
無事クエストを終え、戻ってきたルーシィとナツも居た。
羽を仕舞ったハッピーがトコトコとボードの下まで行って腕を組む。
それから間もなく、ミラジェーンと共にマカロフがボードの傍らに立った。
説明は今から始まるらしい。
「んー、ごほん。みんな集まったかの?」
「ええ。説明を始めてもいいと思うわマスター」
「よかろう。では説明を始めよう」
マカロフは数回咳払いをしてから説明に移った。
エルフマンの背で視界を遮られたシュエは、ボードが見えるよう若干無理をして背伸びがちになる。
「…う、あと30pあれば…」
「牛乳飲めよ。シュエ、あっち空いてる」
くっと笑ったグレイの手が伸びてくる。
ぐいぐい引っ張られるまま脇に避けると、丁度いい位置に立つことが出来た。
「今日から一週間後、フェアリーテイル初の慰安旅行を開催する!豪華客船、青い海に囲まれた船の旅じゃ。おやつは300円までならワシが買ってやろう」
完全に子ども扱いしている口調に、シュエを含め皆の顔が引きつる。
「バナナはおやつに入りますかー?」
「いあんりょこう?」
「会社勤めじゃねえんだからよ…」
「つーか実費かよ。俺ダメだ、今月金ねえ」
悪乗りする者、財布や通帳を取り出して紙幣硬貨や数字と相談を始める者などさまざまだ。
「そうじゃの、まー馬鹿なお前たちにはお泊りつきの遠足といったほうがわかりやすいかの?」
皆の反応を眺めながら、マカロフは髭を撫でながらうんうん頷いている。
「いつまで掴んでんだよ」シュエは未だ手首を掴んだままのグレイに満面の笑みで無言の牽制をした。
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