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Fee des neiges
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「じ…ジャック」
「ローズ…!」
青い空、白い雲。
そして青い海。
「Near…far… wherever you are…!」
「ああ神曲がゴミBGMに」
「ちょ、ゴミとか言うなよ」
「つーかいつまでやるんだよこれ」
「俺が飽きるまで☆」
「はぁ……」
カモメの飛び交う豪華客船の上。
二人はまさに「ごっこ」に勤しんでいた。
「まったく。何ふざけてるのよ二人とも」
二人から少し離れたところで手すりに背を預け、愛玩用精霊プルーを抱いているルーシィは大きなため息をつく。
豪華客船の設備を見て回り、色々堪能したところで風に当たろうと出た先で、友人二人の「タイタニッ●ごっこ」を見せられたのだ。
燥ぐ気持ちはわかるが、溜息をつかずにはいられない。
「ふざけてねえよキョンシー。真剣だ」
「ルーシィよっ!アホ×2!つーか真剣なら、なお他人のフリしたいわ」
「いや、俺言わされてるだけ…お願い後ろのアホと一緒にしないで」
両腕を水平に伸ばし、後ろから緩く抱きしめられているのはシュエ。
後ろのアホもといグレイ・フルバスターに強要され付き合ってやっていたのだが、やたらこの設定が気に入ったのか船全体を背景に、すっかり「ジャック」に成り切っている相手にそろそろ我慢の限界が来ていた。
ルーシィにはアホと言われるし、そろそろ腕も疲れてきたし。
今回は依頼ではなく、ギルドの催し物でここに来ているため、船にいるのは三人だけではない。
マスター・マカロフは勿論、受付のミラジェーン、船酔いのため部屋で転がっているナツ、昼間からワインを飲み漁る酒豪のカナ。等等、フェアリーテイルの者だけで30人。他は雑誌・新聞記者から有名俳優なども上席している。
ギルドの仕事を放りだして何故こんなところに集結しているのかというと…
時は1週間ほど前に遡る。
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